北陸本線の敦賀と今庄の間は現在は北陸トンネルで通過していますが、1962年に新トンネルが開通するまでは「山中越」と呼ばれる険しい峠を越えていました。当時使われていた9本のトンネル群は現在も残っており、廃線跡は県道207号線として活用されています。
このルートはその筋の間では有名で、一度行ってみたいと思ってましたが、なかなか機会がなく数年越しで実現しました。
GPSログ
レポート
スタート地点は国道8号と国道305号が交わるところにある桜橋総合運動公園としました。午前8時、車中泊した場所からそのまま出発します。このパターンが一番楽でいい。
運動公園を出発して、国道305号を河野方面へ下っていきます。
突き当りに信号があって、ここから「しおかぜライン」が始まります。この道は観光道路で昔は有料でしたが、現在は無料化されて国道305号となっています。なお10月6日~10日の間は全面通行止めとなりますので要注意です。
しおかぜラインを走るのは9kmほどの間です。海岸線にありがちなアップダウンが全くなく、完全なフラットで走りやすい。たまたま追い風だったのでめちゃくちゃ楽でした。これが逆だったら地獄。途中に休憩所などの施設はほとんどなく、特に見るべきものはないですね(笑)。並行する国道8号を通った方が早いからでしょうか、車もほとんど通りません。
向かいは敦賀半島ですね。
しおかぜラインを抜けて杉津の集落に入りました。「すぎつ」ではなく「すいづ」と読みます。地名は難しい。ここを左折して山側へ登ります。
国道8号を横断して県道207号に入ると通行止めの看板が。もろに期間とかぶってますが、よく見ると土日祝は解除なんですよね。助かった。ここが通れなかったら何のために来たのかわからない。さっきのしおかぜラインといい、ギリギリのところで通行止めを回避してツイてるな。
杉津から旧北陸線跡まで激坂を登ります。最大勾配12%。
標高170mまで登って旧北陸線跡に取り付きました。すぐ横には北陸自動車道の杉津PAがあります。なおここから高速の下をくぐって南側にも旧北陸線跡が続いてます。そちら側にも3本のトンネルがありますが、今回は北側の6本を巡ります。
左側の道が旧北陸線跡です。この先900mに最初の第1観音寺トンネルがありますが、なぜか工事休みのはずなのに作業をしていて誘導していました。もちろん通れましたが。
2つ目が第2観音寺トンネルです。これはちょっと長い。
3つ目が曲谷トンネル。
これが曲谷トンネルの内部。石積みだったり蒸気機関車の煤の跡が残っていたりして、いかにも鉄道トンネルらしい味わいが残っています。
曲谷トンネルを抜けたところから敦賀半島が見えます。
4つ目が芦谷トンネル。
5つ目が伊良谷トンネル。この手前に交互信号があります。これは次の山中トンネルと合わせてということなのでしょう。待ち時間3分と意外と短いですが、自動車でも3分では抜けられない気がします。
そしてラスボスの山中トンネルに突入します。9本のうち最長で1170mあります。細長い馬蹄形の坑口、レンガ造りのポータルがいかにも鉄道トンネルらしく、他とは違う風格を醸し出しています。
トンネル入口に掲げられていた扁額のレプリカ。読めないけど「功加于時」と書いてあるらしいです。事業の功績は時に増していくの意味。
山中トンネル北口。やっと抜けました。直線なのでずっと出口は見えてるんですけど、行けども行けども近づいてこない。登りということもあるんでしょうけど、1キロあまりとは思えない距離感がありました。おまけに天井から盛大に漏水があって、背中に当たると冷たい。この急勾配を本当に蒸気機関車で越えたんか。凄いな。
トンネルを抜けたところは山中峠と呼ばれているらしいです。別の林道が合流してきています。
峠からちょっと下ると山中信号場があります。ここは上下線行き違いのための施設で、急勾配のため複雑なスイッチバック構造になっています。
上り下りそれぞれに待避線があり、左に見える道は上り側の待避線です。
大桐の集落まで下ると普通の道らしくなってきます。
かつて存在した大桐駅の跡。ホームはそのまま残っています。
大桐駅跡にはD51の動輪が保存されています。
今庄の町では国道に入らず旧今庄宿を抜けていきます。独特の卯建(うだつ)がある街並み。
昭和会館なるレトロな建物。
今庄駅と湯尾駅の間にある湯尾トンネル。これも旧北陸線の遺構です。
再び国道365号に戻ります。
鯖波にある小さな踏切を渡り、人だけが通れる鯖波トンネルを抜けると国道305号へショートカットできます。ちょっとだけですが(笑)。
国道305号に入り、ホノケ山トンネルまで標高差約100mを登っていきます。
ホノケ山トンネルに着きました。これで登りは終わり。2704mもある長いトンネルですが、概ね下りなので楽ちん。歩道はありませんが、交通量は少ないので問題なし。
ホノケ山トンネルからガーッと下ると国道8号の桜橋交差点に出てきます。ここを渡ればもうデポ地です。まだ11時45分。4時間かからずに帰ってこられました。
今回、コースを左回りとしましたが、結果的にこれで正解だったと思います。これにはいくつかの合理的理由があります。
・しおかぜラインはこれからの季節、北風が吹くことが多い。
・旧トンネル群は登りの方がじっくり楽しめる。
・山中峠からの長い下りが非常に気持ちいい。
・ホノケ山トンネルを登るのは嫌。
・最後に桜橋総合運動公園まで登らずに済む。
まあ杉津からの登りだけが激坂ですが、しんどいのは一瞬で終わらせた方が楽です(笑)。
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