iGPSPORT BSC200のレビュー

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GPS自転車自転車用品

普段サイコン(正確にはサイコンではない)はGarmin eTrex 30xとスマートウォッチのInstinct 2Sを併用しておりますが、純粋な意味でのサイコンにも興味が出てきて、新しいサイコンを買っちゃいました。まあAmazonプライムデーで安かったからなんですが(笑)。

買ったきっかけ

そもそもeTrexとGarminウォッチがあればサイコンは要らないのです。これまで主にeTrexは地図を見るのとログ取り専用、Garminウォッチはstravaに自動アップすることを目的として使い分けてきました。この2つを併用すればお互いの弱点を補い合えて完璧になるわけです。それぞれの長所短所を書いておくと次のようになります。

eTrexについて

長所は何と言っても超精密な地図を表示できることです。最近のサイコンは地図表示できるものも多いですが、主にナビを目的としたものなので必要最低限の道路しか載ってないですよね。しかしeTrexは地理院地図に匹敵する等高線入りの精細な地形図を表示できます。これはあらかじめ決められたルートを走るのではなく、現地で地図を見ながら道を探索するような目的には非常によくマッチします。

またもともとアウトドア用のハンディGPSという位置付けですから、ログ取り機能は非常に強力で、電源を入れた時から有無を言わさずログを記録し続けます。そのためログの取りこぼしがありません。乾電池式で駆動時間も長く、途中で電池を交換してもログは途切れません。

一方で短所としては、スマホとの接続に対応していないことが最大の弱点です。今どきこれは前時代的ですよね。何をするにもPCとUSBケーブルで有線接続しなければなりません。しかもそのケーブルがminiUSBという化石規格(笑)。ですから保存と同時にstravaにアップとかもちろんできませんし、現地でルートを作成してナビを利用するにしてもPCがないと何もできません。

また乾電池を使うため、一般的なサイコンに比べてやや大きく、重いことも欠点と言えますね。

Garminウォッチについて

僕が使っているInstinct 2Sはマルチに使えるアウトドアウォッチなので、サイクリングでも通常のサイコンと同程度の機能を有しています。ケイデンスやスピードなど外部センサーとの接続も可能で、事実上サイコンそのものだとも言えます。何より光学式心拍センサーを内蔵していますから、あの鬱陶しい胸ベルトを着けなくても心拍計測ができるのは最大の魅力です。

もちろん今どきのデバイスですからスマホとの接続にも対応し、ライドを保存したら即座にstravaにもアップされます。特に旅行中などはこの機能がないとstravaにアップできないんですよね。

短所としては画面が小さいため視認性が悪いことですね。特にロードバイクで使うには相性が悪いです。ドロップハンドルのブラケット部を握っていると手首が外側を向いてしまうでしょう。そうすると手首を上げないと見れないわけです。これが結構めんどくさい。

またサイコンと違って常に腕に着けているため、自転車を離れて歩いた時も計測されてしまいます。その都度ポーズすればいいんですけどね、それをやるとたいがい再スタートを忘れます。したがってサイコンで計測するより平均速度が低めに出てしまうことが自分的には不満です。

eTrexとGarminウォッチの統合が目的

以上のようにどちらも一長一短があり、2つ併用して初めて完全な機能を発揮できるんですよね。そうなるとこの2つを統合して1台で済ませたいという欲望が湧いてきますね(笑)。もちろんGarminのedgeシリーズのような高機能サイコンを買えば目的は達成されるんでしょうけど、あまりにも高すぎますよね。

そこで手頃な価格である程度満足できるサイコンはないかと思って気になり始めたわけですよ。地図表示にこだわると結局高価になりますので、そこまでは必要ありません。詳細な地図が必要ならスマホを見ればいいだけのことですから。要はログがしっかり取れて、stravaに自動アップできさえすればいいんです。

iGPSPORT BSC200を買った理由

サイコンを選ぶにあたって、最近コスパの高いメーカーとして人気のあるiGPSPORTを検討しました。以前、同社のiGS50Sという機種も買ったことがあるので、基本性能の高さは認識しています。

最近はラインナップがずいぶん充実してきましたので、選ぶのに迷うくらいですが、自分の目的から考えると最適なのはBSC200というモデルだろうという結論になりました。価格は通常11,000円。これには下位と上位のモデルが存在しますので、それぞれの違いをまとめると次のようになります。

BSC100Sとの違い

価格は実売5,500円程度と約半額です。画面表示は固定式で、一応カスタマイズはできますが、自由度はそれほど高くありません。一番の不満点は、同時に表示できる項目が最大6個ということで、ちょっと物足りなさを感じます。もちろんログを取るだけならこれでも十分なのですが。

BSC300との違い

価格は実売20,000円程度です。画面表示がカラーになり、地図表示も可能です。完全なナビ機能がありますので、それが目的であればこちらを選ぶべきでしょう。ナビ付きサイコンとしては安いです。ただし駆動時間がBSC200の30時間に比べて20時間と短くなるところが最大の不満点と言えます。

以上の比較により、駆動時間を考えるとBSC200が最適という結論になりました。いずれもフルGNSSに対応しており、基本的な性能としては十分なものを持っています。あとは付加価値の違いです。BSC200にも簡易ナビ機能はありますし、地図表示は必ずしも必要ないと考えました。この手のサイコンはナビ中でしか地図を表示できないので、eTrexのような単体の地図としては役に立たないことがわかっているからです。

iGPSPORT BSC200の特徴

安い

Amazonでの通常価格が11,000円と、本格的なサイコンとしては破格の安さです。それがプライムデーで8,800円に割引されていましたので、買わない理由がないと言えるでしょう(笑)。

フルGNSSに対応

搭載しているGPSチップは、米国GPS、ロシアGLONASS、中国Beidou、欧州Galileo、QZSS(みちびき)のすべてに対応しています。そのため測位にかかる時間が短く、山間地でも精度が高いことが期待できます。

160×240のフルドットマトリクス/モノクロ液晶

BSC100Sが廉価型の固定式なのに対して、BSC200はフルドット液晶なので柔軟に表示画面をカスタマイズできることが特徴です。モノクロ液晶ですからバックライトを必要とせず、消費電力が少ないことも特徴です。

最大8項目のデータが表示可能

フルドット液晶の特徴を生かし、最大で8項目のデータを同時に表示でき、スマホのアプリから自由にカスタマイズすることができます。これはBSC100Sに対する大きなアドバンテージと言えます。Garminが10項目なのに比べると少し物足りない気もしますが、パワーメーターなどを利用していなければこれでも十分と言えるでしょう。

簡易ナビ機能を搭載

BSC300のような完全な地図は搭載していませんが、あらかじめ作成したルートをデバイスに取り込み、ナビとして利用することは可能です。この場合、ターンバイターン方式と言って、次曲がるポイントの方向と距離を示してくれます。地図がないと不便なようにも思いますが、実際使ってみるとこれだけでも実用的であることがわかります。地図が必要ならスマホを見ればいいだけなんですよね。

駆動時間は30時間

ナビ付きのサイコンはカラー液晶のため、どうしても駆動時間が短くなりがちですが、本機はモノクロ液晶のため30時間と十分な駆動時間を確保しています。これはBSC300に対するアドバンテージです。日帰りサイクリングはもちろん、200~300kmのブルベなら十分使用可能でしょう。

初期設定

BSC200はほとんどの設定が専用のスマホアプリiGPSPORTから可能です。

表示項目のカスタマイズ


ライド中のデータ表示画面は4ページあり、それぞれ切り替えできます。上は8項目同時表示の画面です。ページのレイアウトは固定されているため変更できませんが、表示内容は自由に入れ換えることができます。どのページをホーム画面にするかも設定できます。

センサーの設定


外部センサー類はANT+とBluetoothの両方に対応しています。心拍、ケイデンス、スピード、パワーメーターに加え、Di2にまで対応しています。上のように、複数の心拍センサーを登録することも可能です。

通知の設定


本機はライド中にスマホからの通知を表示することができます。電話やメールの着信だけでなく、選択したアプリからの通知も受け取ることができます。

ライドモード


ライド中のホーム画面は8項目同時表示に設定しています。内容は自分がよく使うものを選んでいます。文字が大きいため、老眼でも見やすいと思います(笑)。

eTrexは勾配を表示できないため、自分的に勾配は外せないです(笑)。Garminウォッチの勾配は10秒くらいタイムラグがありますが、こちらは割とリアルタイムで反映されるため、見ていて面白いです。

標高も外せない情報なのでホーム画面に表示させていますが、正確ですね。以前買ったiGS50Sは常に40mほど高めに出るクセがありましたが、本機はそんなこともなく、Garminウォッチと比べても10m以内の精度で一致しており問題ありません。マニュアルで標高を校正する機能はありませんが、自動で十分な精度が得られています。

ナビモード

事前準備

ナビを利用するには、事前にスマホアプリにルートを登録しておく必要があります。ルート作成はiGPSPORT標準のものを使ってもよいのですが、かなりクセが強くて思ったようなルートを引くことが非常に困難です。

そこで使いやすいRide with GPSのルート作成機能を使ってルートを引き、GPXファイルとして出力しておきます。それをiGPSPORTのルートマップにアップロードすればOKです。ただしスマホ版のRide with GPSは無料アカウントでは保存できないため、PC版のサイトで作成しておく必要があります。出先では使えないのが最大の難点でしょうか。

最終的にはスマホアプリからルートマップを開いて希望のルートを選択し、デバイスに転送します。あとはデバイス側で転送されたルートを選択すれば準備完了です。

ナビ画面


ナビ画面も1つのページとして扱われますので、ライドモードから上下キーを押すことによって随時切り替えられます。操作がちょっとわかりづらいですが、左上の電源キーを押すことによって縮尺を循環方式で変えることもできます。

ナビはターンバイターン方式になっていて、次に曲がるポイントでの方向と距離を教えてくれます。ただ注意すべきことは、交差点のデータを持っているわけではないので、指示されるのは必ずしも交差点ではないということです。単なる一本道であっても、カーブの急なところでは転換点と判断されて指示が出たりします。ですから実際にはかなり短い間隔で曲がる指示が出るので煩わしく感じるかもしれません。

地図がないことを不安に思うかもしれませんが、ルートの概形は表示されますので、実用的にはこれで十分と感じます。少なくともルートから外れていないことは確認できますし、もし逸脱したら警告してくれます。あらかじめ作成したルートにしたがって走るのであれば、これでも十分実用的です。

精度は十分

BSC200はフルGNSSに対応しているため、Instinct 2Sと比べても精度は高いだろうと期待できます。取得したログを比較してみると、開けた場所では全く差はないと言っていいですが、電波が届きにくい林間では少し差が出ました。以下、わかりやすいように電波状況の悪い林間でのログを比較してみました。左がInstinct 2S、右がBSC200です。


微妙な違いですが、Instinct 2Sは少し道路から外れている箇所があるのに対し、BSC200はほぼ外れていません。やはりたくさんの衛星を拾っている分、BSC200の方が精度が高いと言えそうです。

気になった点

BSC200を試用してみて少し気になった点があるので書いておきます。

時刻がおかしい

ライド中には気付かなかったのですが、帰ってからGPXに出力してログを取り込んでみると、時刻がおかしいことに気付きました。以下は生ログをそのまま解析した結果です。

Instinct 2S

BSC200

正しいのはもちろんInstinct 2Sの方ですが、BSC200の方はなぜか開始時刻が12時間前にずれているのです。ログの中身を見てみると、最初の方だけおかしくて、途中からは正しい時刻になっていました。したがって終了時刻は同じです。

そういえば以前買ったiGS50Sでも同じような現象がありました。どうもiGPSPORTはソフトウェアのバグが多い気がします。

ただこれはGPXに出力した場合の話なので、stravaにアップされたデータでは時刻は正常です。もしかするとGPXに出力する時点でバグが混入しているのかもしれません。

ナビ中にデータを隠される

ナビのマップを表示していないライドモード中でも、曲がるポイントが近付くと自動的に指示してくれます。それはいいのですが、画面の下4分の1ほどを覆い隠してしまうので、必要なデータが見られません。しかも消すことができないのです。割としょっちゅう指示が出てくるため、これは鬱陶しく感じます。自分はこれが嫌なので、ナビは使いたくないなと思いました。

通知の日本語表示がおかしい

アプリからの通知などを画面表示する機能があるのですが、時々日本語の表示がおかしくなることに気付きました。たとえば「ちょう」のようにひらがなの小文字があると、それが脱落して「ちう」になってしまうのです。これは明らかなバグと思われますが、中華製はこういう不具合がよくありますね。

一時停止アイコンが邪魔

自動ポーズ機能を有効にしていると、停止している間は自動的に計測が止まり、データにカウントされなくなります。その際、画面中央にでかでかと一時停止アイコンが表示されるため、データの一部が覆い隠されて見えません。心拍数などは停止中でも見たいデータなので、こんなことをやられると非常に邪魔です。

どうやって使うか?

正直言って、eTrexとInstinct 2Sがあればサイコンは要らないのです(笑)。やっぱり地図は欲しいので、eTrexは外せません。そうするとあまり使う機会はなさそうに思えます。使うとすれば、地図の必要性が全くない走り慣れたコースくらいでしょうか。ナビはまあ使わないでしょうね。

欲を言えばeTrexとBSC200を同時に使いたいのです。そうすればeTrexは地図専用にして、BSC200の方でライドデータを確認できます。ただサイコンを2つ付けるスペースがないんですよね。それで仕方なくGarminウォッチで代用しているわけです。

というわけで自分の使い方では、これ1台ではやはり心細いのですが、初めてのGPSサイコンとしては価格も安いことから十分おすすめできる機種だと思います。ただし中華特有の変なクセがたまにあるので、その点は要注意です。

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