何km以上をロングライドと呼ぶのか人によって基準は違うでしょうけど、自分の場合80km以上はロングライドです(笑)。最近80kmも走ったことがないし、90kmなんて未知の領域です。
普通のローディーは100kmなら短距離だと言うし(笑)、120~130kmくらいは日常的に走っているでしょう? そのくらい走らないと走った気になれないんでしょうね。恐ろしいことに、そのくらい距離を走っても6時間くらいで帰ってくるんですよね。確かに早朝に出発すれば昼までに帰ってくるなんてことも可能かもしれません。
自分から見ればとてもありえない話ですが、ロングライドができない原因はわかってるんです。それは「時間がかかる」から。自分のペースだと1時間に10kmしか進まないことが確実にわかっています。最近はさらに遅くなって10kmも進まないことが往々にしてあります。100km走ろうと思えば10時間かかりますから一日がかりになります。日の短い時期なら真っ暗の中を走らなければなりません。
この問題がある限り、100km以上のロングライドなんてできるわけがありません。唯一の解決方法は「速くなること」、それしかありません。速くなるためにはどうすればよいか?について考えてみましょう。
速く走れなければ意味がない
世の中には「ゆるポタ派」という人種が一定数存在します。自転車なんてシャカリキになって走るもんじゃない、景色を楽しみながらのんびり走るのが最高さ!という考え方。サイコンすら付けるのを嫌がる人が多いですね。もちろんレースなんか一切出ないし、速く走ることに全く興味がないのが特徴です。まあ自分もそっち側の人間だと思ってました(笑)。
もちろん個人の趣向にとやかく言うことは無意味ですが、このタイプの人種は得てして真剣にトレーニングしている人達を馬鹿にする、あるいは軽蔑する傾向があります。あんな風にはなりたくない、馬鹿げていると思っているんでしょうか。まあそう思うのは勝手ですが、口に出したり文字にして書くことはないでしょう? 他人が努力しているのを笑うのはダサくないですか? 少なくともリスペクトはあってしかるべきです。
ここではあえて「自転車は速く走れなければ意味がない」と言っておきましょう。なぜなら遅く走るのは誰でもできるからです。単純に距離は速度✕時間ですから、どんなに遅くても時間さえかければ目的地に着けるんです。何日かけてもいいなら200kmくらい誰でも走れますよ。でもそれじゃ意味がないからブルベでは時間制限を設けているわけでしょう? 誰でもできることをしたって意味がないんです。
遅いということはそれだけできることが減るということです。単純に100km走るのに10時間かかっていたところが5時間になれば、一日でもっと遠くへ行けるわけでしょう? また余った時間を観光や食事にあてることもできますね。速く走れればそれだけ自由度が高くなるということで、悪いことなんて何一つありません。速さは正義です。
グロス平均速度とネット平均速度
平均速度には2通りの定義があり、一つはグロス平均速度、もう一つはネット平均速度と呼ばれます。
このうちグロス平均速度は単純に距離をかかった時間で割ったもので、スタートからゴールまで止まっている時間もすべて含みます。別名「旅行速度」とも呼ばれますね。サイクリングではずっと走りっぱなしということはなく、信号で止まったり休憩したりするわけですから、このグロス平均速度が最も重要な指標になります。ブルベではグロス15km/h以上で走れることが認定基準となっています。
一方、ネット平均速度というのは実際に走っている時間の平均速度という意味で、停止時間は含みません。サイコンの自動ポーズ機能を使って計測される値がこれになります。ほとんど止まらなければ巡航速度に近いかもしれませんが、実際には頻繁に止まるのでネット平均速度は巡航速度よりは遅くなります。大ざっぱに言えば、ネット平均速度はパワーに比例する量です。
グロス平均速度を上げるには?
自分の場合、1時間に10kmしか進まないのでグロス平均速度は10km/hかそれ以下ということになります。しかし昔は15km/hはあったと思うんですよね。だいたい80kmのサイクリングなら5時間で行って帰れるという計算が成り立っていましたから。なぜこれほどまでに遅くなってしまったのでしょうか? そして速くするにはどうすればいいのでしょうか?
できるだけ止まらない
これは当たり前の話ですが、信号などは仕方ないとしても、休憩などで止まる時間をできるだけ削るということです。これ言うのは簡単でも、後半疲れてくるとどうしても止まる回数が多くなってしまいますね。これが解決課題の一つ。
写真を撮らない
自分の場合、写真を撮る時間が大きなウェイトを占めています。もともと自転車は撮影の手段だったので、自転車と写真は切り離せないわけです。しかしいつも言っているように自転車と写真は相性が最悪です。お互いに楽しさを潰し合うからです。実際に平均速度を下げているわけですからね。
フィルムで撮ってた時代はそんなに枚数撮らなかったから良かったんですよ。でもデジタルになってからアホほど枚数撮るようになり、ちょっと行っては止まって、で全然進まなくなりました。
写真なんか一切撮らなければいいんですが、絶景を前にして撮らないのも辛いですよね(笑)。そこで自転車を被写体にしないことを提案したいと思います。絶景に出会うとどうしてもやっちゃいますが、これをやると自転車から降りなければならないためものすごく時間を食うんですよ。立ち止まって景色を撮るだけならそれほど時間は食わないはず。やりたい気持ちはわかるけど、できるだけ自転車を被写体にするのは控えましょう。
スマホを触らない
実は自分の場合、一番時間を食っているのはスマホです。これは間違いありません。昔はスマホなんてなかったですからね、この差は大きいです。
特に写真を撮ってSNSにリアルタイムでアップする行為はやめなければなりません。やりたければ帰ってからまとめてアップすればいいのです。実際そうやっている人も多いですよね。
それともう一つはSNSのタイムラインを追ってしまうこと。これをやってると際限なく時間を食われます。休憩したついでにうっかりやっちゃうんですが、一度見出したら止まりません。これは厳に慎まなければなりません。もちろんライド中はメールも見てはいけません。スマホを触るのは地図を見るなど必要な場合だけにしましょう。もう一度言いますが、スマホは最大の時間泥棒です。
飲食店に入らない
グルメが目的なら別として、飲食店に入ることも避けなければなりません。一度入れば1時間くらい潰れてしまいます。行列のできる店なんて論外ですね。どうしても入りたければ混雑時間を避け、ファストフードなど時間のかからない店にしましょう。
自分はライド中に飲食店に入ることはほとんどありません。だいたい山奥を走っていると店などあるかないかわからないので、いつもコンビニでおにぎりを買ってから行きます。それもなさそうな場合は補給食のみで済ませます。これで食事にかかる時間を大幅に減らせます。味気ないと言われても貧脚は地道に時間を削るしかないのです。
ネット平均速度を上げるには?
上記の方法でできるだけ無駄な時間を削ったとしても、自分の場合、グロス平均速度はせいぜい12~13km/hしか出ません。昔は15km/hは出せたのにこの差は何か? これはもうネット平均速度が下がったこと以外にありません。
過去のライド記録を調べていくと、昔はコンスタントに20~22km/hはあったんですよね。最高で琵琶湖一周の150kmで22.6km/hという記録もありました。恐るべき速さです。それが今では16km/h台が普通になり、速くても18km/h台、遅いと14km/h台なんてザラにあります。これはもちろん老化の影響もあるんでしょうが、一番大きいのは「速く走る気がない」ことだと思います。昔は常に20km/hを下回らないことを意識して走っていました。そのためには平地は27km/hくらいで巡航する必要があったんですよね。そういうことがわかっていたから昔はトレーニングを意識して走っていたんです。それが今は速く走ろうなんて気もなくゆるゆるダラダラ走っているだけ。これじゃ遅くなるのは当然なんです。
だからグロス平均速度を15km/hまで引き上げるには、ネット平均速度を上げる以外に方法はないんです。これはほぼパワーを上げることと同義です。
平地をダラダラ走っても何の意味もない
自転車というのはとてもエネルギー効率の良い乗り物です。もし抵抗が全くなければ、一度加速すれば全く漕がなくても永久に同じ速度で走り続けます。つまり移動のために消費するエネルギーはゼロなのです。空気のない宇宙空間では天体が永久に運動を続けるのはそのためです。これは物理学的に正しい。
しかし実際には抵抗がありますからそうは行きません。平地の場合、抵抗のほとんどは空気抵抗です。これがあるから空気抵抗を打ち消すだけの力を加え続けなければ一定速度で走ることはできません。そして大事なことは空気抵抗は速度の3乗に比例するんです。これは速く走れば走るほど莫大なエネルギーを必要とすることを意味します。つまり15km/hで走るのに比べて30km/hで走るのは8倍ものエネルギーが必要ということになります。
逆に言えば15km/h以下でゆるゆる走っていれば空気抵抗は微々たるものですから、ほとんどエネルギーを消費しないということでもあります。坂は重力がありますから別ですが、少なくとも平地をゆるゆる走っていれば消費するエネルギーはゼロに近いのです。
「自分は自転車に乗っているからいくら食べても大丈夫」と思っている人は実は危険な思い違いをしています。それで運動している気になっているのでしょうが、平地をゆっくり走ったってほとんどエネルギーは消費しないし、もちろんトレーニングにもなりません。まったく無意味なのです。だからかえって太るわけです。
速度ではなく心拍計を見ながら走る
運動の強度というのは心拍数と密接に関係しています。だからちゃんと運動できているかを把握するには心拍計を見るのが正しいのです。速度というのは風向きや勾配によって変わりますからあまり意味がありません。それよりは心拍数を一定に保つ、すなわち負荷を一定にするということが大事です。
心拍数にはゾーンという考え方があり、目的とするトレーニング内容によって最適なゾーンというものは変わります。一般的にゾーン1~ゾーン5という5段階に区分けされることが多いですが、サイクリングで重要な心肺機能を鍛えるにはゾーン3が最も適していると言われています。
心拍ゾーンには最大心拍数から決める方法と予備心拍数から決める方法がありますが、自分はより正確な予備心拍数の方を使っています。これには最大心拍数と安静時心拍数の両方がわかっている必要があります。ゾーン3に相当するのは運動強度が70%前後、60~80%の間とされています。自分の場合で計算すると、124~148bpmの間ということになりますね。
心拍数がこの間に入るように意識しながら走れば効果的なトレーニングができているわけです。これでだいたい平地の巡航速度は27km/h前後になります。つまり昔とほぼ同じです。実はこのレベルって意外ときついんですよ。ハアハアとかなり息が上がるくらいです。そういえば昔はこのくらいの強度で走ってたなというのを思い出しました。
もちろん登り坂では一気にゾーン4~5まで行っちゃいますから、それより下げることは不可能です。これは平地の場合と思って下さい。平地ではここまで上げないと意味がないんです。
たぶん心拍計を使ってない人は自分が思っているより運動強度が低いです。僕もそうでしたが、息も上がらないくらいの速度で走ってたら心拍110bpm以下ですから運動としては全く効果がありません。だから太るんです(笑)。
心拍ゾーンを意識したら実際にネット平均速度が上がった
ネット平均速度というのはコース状況によっても左右されます。アップダウンの多いコースではもちろん下がりますし、信号の多い市街地でも大きく下がります。あくまでも信号がほとんどない自転車道メインの場合ですが、心拍ゾーンを意識して走ることによりネット平均速度は22km/h台まで引き上げることができました。老化というのは単なる言い訳で、実際はやる気がないだけなんだなと思いました(笑)。
昔のサイコンよりネット平均速度は下がる
ちょっとだけ言い訳をさせてもらうと、昔と今とではネット平均速度の算出方法が違うんです。昔はキャットアイなどのマグネット式サイコンを使ってましたから、速度に関してはタイムラグがなかったんです。もちろんトンネルも関係ありません。しかし現代のGPS式サイコンではどうしてもスタート/ストップにタイムラグが生じるため、マグネット式より平均速度は低めに出ます。しかもトンネルがあると距離も正確に計測できません。そのことはちょっと割り引いて考える必要がありますね。
この問題を解決するため、スピードセンサーを購入いたしました(笑)。
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