大峯奥駈道と行者還岳

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登山


大峯奥駈道

一日遅れてますが、実際に行った日の日付でアップいたします。これだけ遠方になると帰りが遅く、即日アップは不可能なのです。さて久々に大峯へ行ってまいりました。この山域へ足を踏み入れるのは実に十年ぶり以上のことです。その間に世界遺産に指定されたり、いろいろ変わっております。その中でも未踏峰であった行者還岳にアタックしました。ここだけは何とか今年中に登っておきたいと思ってました。このところスッキリしないお天気が続きましたが、やっとその機会に恵まれました。行者還の名はあまりの険しさに役行者も引き返したところから来ていると言われております。大普賢岳と弥山の間にあってあまり登られていない山ではありますが、静寂に包まれた奥駈道を満喫できるコースでもあります。

行者還岳へは通常、天川側の小坪谷から登るコース、あるいは行者還トンネル西口から登るコースが一般的ですが、今回はガイドブックにも地図にも載っていない別ルートからピストンで登りました。上北山側の清明ノ尾と呼ばれる尾根を経由するルートで、最も楽に登れるということから最近ネット上では報告をよく見かけます。正規の登山道ではないので道標などはまったく整備されておらず、迷わないためには事前の情報収集が欠かせませんね。というわけで、今後登られる方のためにできるだけ詳しく状況を記しておきます。


登山コース図(往復)


登山口はR309の90番ポスト付近にあります。R169の天ヶ瀬を起点として、たぶん100mおきに設置されているのだろうと思いますが、その90番目です。9km地点ということですね。このポスト付近に路肩が広くなったスペースがあり、4台ほど駐車可能です。


その90番ポストの10mほど先、右側に鉄製の階段があり、ここから登り始めます。標高1070mです。午前9時10分出発。


この道はたぶん作業道なのだろうと思いますが、丸太の階段が作られているなど、割としっかりした道です。基本的にピンク色のリボンを見失わないように行けば迷うことはありません。最初しばらくは植林の中ですが、やがてブナやヒメシャラの自然林に変わってきます。


ジグザグを繰り返しながら、かなり急な道を登っていきます。何の木なのかわかりませんが、幹が二つに分かれた巨木に出会うと、まもなく清明ノ尾に出ます。


清明ノ尾に取り付いたところからは大普賢岳が大きく見えます。標高1300m。ここまで約30分。


清明ノ尾との合流地点になぜか廃トラックがあります。これも事前の情報でわかっていたのですが、いきなり見たらびっくりするでしょうね。何でこんなところにトラックが・・。実はこの尾根にはかつて林道が通っていて、その名残らしいです。こんな美味しい被写体を見逃すはずがありません。しっかり取材させていただきました。(笑)


その廃トラックからしばらくの間、元林道のダブルトラックの道を行きます。傾斜もゆるやかで大変歩きやすい。


ブナの大木がところどころに・・


やがてダブルトラックが終わり、ミヤコザサの茂る中を行く細道に変わります。明るい自然林が気持ち良い。踏跡はしっかりしています。最後はかなり急傾斜となって、大峯奥駈道に飛び出します。その合流する直前だけは道が不明瞭になりますが、とにかく上へ向かってミヤコザサの茂る斜面を登っていけば必ず奥駈道に出られます。


奥駈道に合流する場所は地図では1458mのピークになっている地点で、そこにこの黄色い道標があります。帰りの目標のために、この道標の場所をしっかり覚えておいた方がいいです。廃トラックからここまで約25分。


その1458mピークから、弥山と八経ヶ岳が大きく見えます。


シロヤシオの紅葉が見頃になっています。


大峯奥駈道はよく踏まれた歩きやすい道で、まったく問題ありません。大峯の主稜線を歩く気分は最高です。どこからともなく聞こえる法螺貝の音が気分を盛り上げてくれます。


途中、支稜へ迷い込みそうな場所にこの道標が立っています。ここは矢印の指す方向へ進みます。この先、しばらく石のゴロゴロした歩きづらい斜面が続きます。それにしても立派すぎる石造りの道標。どんだけ金掛けてるねん?って感じですが・・


地図上の1486m峰の近くかな? こんな気持ちのいい場所がたくさんあります。右下に和佐又山のピークが見えています。


1486m峰からもう一つのピークを越えて下った鞍部は天川辻と呼ばれ、お地蔵様が祭られています。ここで小坪谷から来る道と合流します。


カエデの紅葉も始まっています。


天川辻から約200mで行者還ノ宿と呼ばれる避難小屋が現れます。この小屋は最近新築されたもので、ログハウス調の立派な建物です。トイレもあります。後ろに見えているのが行者還岳の山頂です。1458m峰からここまで約45分。


無人ですが、毛布が備え付けられていて宿泊も可能です。


ここまで来ると行者還岳は目の前なのですが、南側は絶壁になっているため、まっすぐ登ることができません。役行者が引き返したといわれる所以です。奥駈道は東側を巻いて通り、いったん北側から回り込んで登る形になります。少し下った後、水場を経て木製の梯子が連続する唯一の難所にさしかかります。ロープが張ってあるのでどうってことはないですが、梯子が苦手な人には辛いかも?


その難所を抜けて、また急斜面を登った後、この道標のある場所に出ます。ここが行者還岳の入口で、南側へ折り返す形で登ります。山頂まで0.1kmと書いてありますが、絶対ウソです。300mはあると思います。


その分岐からまた結構きつい斜面を登っていきます。まだかなり登らされます。


そしてついに行者還岳山頂に到着! 時刻は11時40分でした。標高1546m。休憩したり写真撮ったりでだいぶ延びてますが、登山口からちょうど2時間半ですね。行者還ノ宿からは30分ほどかかります。しかし山頂は木が茂っていて展望はほとんどありません。シャクナゲの木がたくさんあるので、春はきれいだと思います。


頂上からちょっと西の方へ行くと、稲村ヶ岳とバリゴヤ谷の頭が少しだけ見えます。


そして山頂の南側にあるビューポイントへ行ってみました。この岩の下は絶壁になっていて、目がくらみそうな場所です。さっきの小屋の屋根も見えます。ここでお昼を食べつつ、しばし休憩。


先ほど歩いてきた主稜線や清明ノ尾の尾根が見えます。


そして真っ正面には大峯の盟主である弥山が圧倒的な重量感で聳えています。


山頂からの展望を満喫した後、12時30分に下山開始します。同じ道を戻るので帰路は省略しますが、奥駈道はアップダウンが結構あるので、帰りもかなり登ります。ペース配分は考えておいた方がいいです。午後になると、大台ヶ原方面がくっきりと見えます。


ブナも黄色く色づいてきました。


そして1458m峰から清明ノ尾へ下り始めるわけですが、何でもない場所なので、ピストンではなく初めて来た人には大変わかりづらいと思います。「弥山|行者還岳」と書かれた黄色い道標はもちろんですが、この枯れ木に巻かれた黄色いテープが降り口の目印です。道らしきものはありませんが、斜面を適当に下っていけばやがて細い踏跡に行き当たるはずです。


そしてあの廃トラックの広場から登山口へ下っていくわけですが、尾根道は下りで迷いやすいというのは本当ですね。登りはまったく迷わなかったのに、下りはミスコース続出です。どうも下りの階段というのは上から見えにくいんですね。横に階段があるのを知らずに道じゃないところを下っていたり・・。これも往復してるからわかるんですが、初めて下ってきたら迷う可能性がありますので、ピンク色のリボンを見失わないように注意すべきです。例によって最後はかなり膝に来ましたが、2時50分頃、登山口へ下りてきました。秋は日没が早いので、3時には下山する予定で動かないといけません。

とりあえず、これで今年の懸案は達成しましたので、大峯はまた来年に・・

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コメント

  1. タケヘイ より:

    十数年前にトンネル出たとこから登りました。
    なんせ山深かった印象が残ってます。
    廃トラックは実際見たら「なんでこんなとこに?」と驚くでしょうね。

    実感をともなうような懇切丁寧な解説、
    大変参考になりました。
    (^’^)

  2. SORA より:

    @タケヘイ さん

    おっ、大峯へ登られたことあるんですね。
    ここまで来るだけでも大変でしょう・・(^^)
    トンネル西口からの登りがものすごくきつかったのを思い出します。
    廃トラックはシュールで芸術的でした。(笑)

  3. 純米酒 より:

    こんばんわ
    僕もトンネルから登りました。こっちは最初が劇坂でした。soraさんのコースの方が良いみたいですね。

    僕が行った時は生憎の霧雨。何も見えませんでした。小屋は立派でしたね。寒かったので(11月)ここでお昼を食べました。今度は泊まってみたいですね。その前にバルサンしといた方が良いかも。

  4. SORA より:

    @純米酒 さん

    トンネルから奥駈道へ上がるまでが大変ですね。
    こちらはそれほどきついところはなかったですよ。
    純米酒さんが行くときはいつも雨じゃないですか?(笑)
    11月に泊まったら極寒でしょう・・