クルマに自転車を積載するにはいろいろな方法があります。大きく分けて車外積みと車内積み。僕も昔はコンパクトカーに乗っていたので屋根にルーフキャリアを付けてましたが、軽バンに乗り換えてからは車内積みに移行しました。最近では車内積みが主流で車外積みはあまり見かけなくなりましたね。
それで車内積みの場合はどうやって自転車を固定するかが問題となります。IDIOMのようなミニベロなら完成車のまま積めるのですが、それでは自立しないためあちこち縛って固定するのが面倒なんですよね。そこで今まで上の写真のような市販のキャリア(ミノウラ製)を使ってました。前輪を外す必要はありますが、フォークでしっかり支えられるため、結構安定しています。
ただ失敗したのは2台用を買ってしまったことです。別に2台積むことはないのですが、1台用より2台用の方が安定するためです。1台用はタイダウンでしっかり固定しないと転倒の恐れがあるとメーカーでは警告しています。
これで日帰りや宿に泊まる旅行なら何の問題もないんですよ。ただ車中泊するとなると、後部座席を倒して荷室の左半分が自転車に占有される上、キャリアのバーが右側にも出っ張りますので荷物の置き場がほとんどなくなってしまいます。寝るときは右側の座席を全部倒してフルフラットにしますので、ほんとに荷物が置けないんですよ。これが自転車を持って行くことを躊躇する理由なんですよね。乗らない自転車ほど邪魔な物はないですから・・
そこでやっぱり1台用が必要だと考えました。一応、既製品だとこういうものがあります。
もちろん既製品はそれなりにしっかりしているんですが、少々値段が高い上に、あまり大がかりなものは使いたくないんですよね。もともとコンパクトにすることが目的ですから、できるだけシンプルな方がいいわけです。
そこでキャリアを自作することを考えました。要はフロントフォークを固定できればそれでいいんですよね。ネットで検索するといろいろ情報は見つかりますので、それらを参考にしながら部材を集め、自分なりに製作してみました。そして実際に使用して安定感や問題点などについてもレポートしたいと思います。これから作ってみようと思っている方の参考になれば幸いです。
必要なもの
製作するのに購入したものはこれで全部です。以下、それぞれについて説明します。
オーストリッチのエンド金具(フロント用)
まずこれがなければ始まりません。もともとIDIOMの輪行用に買っておいたものなので、すでにありました。エンド幅は100mmなのでほとんどの自転車に流用できます。要はこれでエンドを固定しながら、何らかの方法で金具自体を支えてやれば良いわけですね。自転車店で買うと1,200円くらいしますが、Amazonでは895円くらいで手に入りますのでお得です。
なお、真ん中のパイプ径をノギスで測るとちょうど10mmでした。このサイズは後で部品を調達する際に必要になります。
あとのものはすべてホームセンターで手に入ります。
ベースとなる木材
土台ですから当然長い方が安定します。ただコンパクトにすることが目的なので、荷室の半分以下に収まるように60cmのものを選びました。60cmは規格品ですので切らずに済みます。もし長すぎたら後から切ればいいだけです。
また幅もなるべく広い方が安定するので、12cmにしました。厚みも木ネジの長さを考慮して最低でも1cm以上は必要です。購入したのは13mmでした。本当なら2cmくらいは欲しかったのですが、そういうのがなかったので仕方ありません。
材質は何でもいいですが、やはり硬くて重い木材の方が安定感はあるでしょう。ただそれなりに高価になってしまいますので、それは予算と相談です。僕はとりあえず一番安いやつを買ってきました(笑)。
パイプ軸受け(13mm用)
これはよくあるステンレスのタオル掛けや手すりなどを自作するための部品で、エンド金具のパイプを通して支えるために使います。パイプ径は各種揃っていて、ちょうど10mmというのがあったんですが、実際にはステンレスパイプの規格は9.5mmらしくて微妙に入らないんですよね。そこで仕方なく一回り大きい13mmというのを2個購入しました。
正式名称は首長ゲンコというらしいです(笑)。耐荷重は1個あたり15kgとなっていますので、2個で30kg。まあ十分でしょう。
土台に固定するための木ネジはキャップの中に入っていますので、購入する必要はありません。ネジ切り部の長さが8mmですので、それより厚い木材が必要です。
スペーサー
もともとはネジの高さを調整するためのもので、ネジ売り場にあります。軸受けの内径が13mmしかなかったため、エンド金具のパイプとの隙間を埋めるために使用しました。内径が10mmで外径が12mmです。それでも1mmの隙間ができてしまいますね・・
工具
今回は買ってきたものをそのまま使ってカットは一切していないので、特別な工具は必要ありません。使った工具はプラスドライバーとキリだけです。木ネジなのでキリは別になくても構いませんが、あった方が軸受けの位置決めはしやすいでしょう。
費用
オーストリッチ エンド金具 895円
木材 265円
パイプ軸受け 181円×2
スペーサー 102円
合計 1,624円
今回、エンド金具は買ってませんので実際はもっと安いです。既製品を買うことを思えばはるかに安上がりですね。
製作
工作というほど大したものではありませんが、一応手順だけ・・
まずエンド金具のパイプを取り出し、スペーサーを両端にはめて動かないように瞬間接着剤で固定しました。
あとはエンド金具のパイプの両端に軸受けの片側を合わせて位置決めし、キリで軽く下穴を開けてから木ネジで固定するだけです。ワッシャはクイックシャフトを差し込むときに軸受けの外側に入れます。
一応、これが完成形です。超シンプルですね(笑)。
使用レポート
IDIOMのフォークを実際に固定するとこんな感じです。このエンド金具の使用感がいまいちよろしくありません。入れにくく外しにくいです。固定力もあまり強くない感じ。しょせん輪行用ですからね・・
そして予想通りというか、スペーサーを使っても軸受けと1mmの隙間があるため、エンド金具自体がグラグラ動きます。たった1mmといえども、その遊びは想像以上に大きいものです。
これが実際に積載した状態です。土台自体は動かないのですが、エンド金具がユルユルのため何もなしではグラグラ揺れます。また土台が60cmあっても軽いため自転車を大きく傾けると簡単に倒れます。特にメカのある右側は倒れやすいです。したがってタイダウンベルトは必須です。これでしっかり固定してやれば一応倒れることはありません。
これまでリア側はディスプレイスタンドを使っていましたが、あれはあってもなくても別に変わらないようなので今回は使ってません。やっぱりあれを使うと一手間増えちゃうので積み下ろしが面倒になるんですよね・・
この状態で走行試験をしてみましたが、多少の横揺れはあるものの倒れるようなことはありませんでした。ただほとんどタイダウンだけで支えているような感じで、それなしでは確実に倒れると思います。
結論を言いますと、このままで使えないことはないですが、揺れはかなり気になります。段差などで激しく横揺れしたときは不安が残ります。まあ要改良ってとこですね・・
改良案
今回、揺れの原因となっているのはエンド金具のパイプと軸受けのサイズが一致していないことが原因です。1mmも隙間があるとさすがにダメでした。要はこれをピッタリにしてやればいいわけです。
13mmのアルミパイプというのがあるのかないのか知りませんが、もしあればそれを買ってきて適当な長さにカットすればいいんでしょうね。パイプカッターが必要になります。たぶんステンレスパイプは硬すぎて切れないでしょうね・・
それともう一つ。ネット上の記事を検索すると、エンド金具を支えるのに補強用のL字金具を利用している人も見つかります。確かにこの方が安定度が高く、工作もより簡単そうなのですが、実は致命的な問題点があります。それはL字金具の厚みの分だけエンド幅が広がってしまうことです。
オーストリッチのエンド金具はワッシャも含めてエンド幅がちょうど100mmになるようにパイプの長さが設定されています。そこへL字金具を挟み込むとその厚みの分、両側でおよそ4mmほどエンド幅が広がってしまいます。おそらく入らないことはないと思いますが、無理やりエンドを広げることになるため、フォークにダメージを与えることは間違いないでしょう。これはやらない方が無難です。
もしL字金具を使うならば、その厚みの分だけパイプを短くしてやらなければなりません。でもパイプカッターを使っても端から4mmだけカットするのは難しいんではないかと思います。
また上の写真からわかるように、IDIOMのフォークエンドは内側が膨らんでいる形になっています。この場合、L字金具の先端が干渉して入らないことが予想されます。よってL字金具を使うのはあまり現実的ではありません。
まあいずれにせよ、1台用は非常に倒れやすいことは間違いありません。やはり安定感では2台用に勝るものはありません。もし自作されるなら、長めの板を購入して2台用にした方がいいと思います。そして使わない側は何か重り代わりに物を載せておけばいいのです。
自作してみて思ったことは、既製品はやっぱり安定していて使い勝手が良いってことでした(爆)。
もう一つの改良案
一応、こういう車載用のフォークマウントも市販されているようです。これなら板にネジ留めするだけなので簡単ですね。固定力も十分でしょう。他に買うものは板とネジだけで済むので、値段的にもトータルでそんなに変わらないと思います。