小径車(ミニベロ)とは概ねタイヤ径が20インチ以下の自転車を指すことになっているので、広い意味では折りたたみ機構を持つものも持たないものもこの範疇に入ります。ですから折りたたみ自転車ももちろんミニベロの一種です。しかしここではあえて折りたたみ機構を持たない小径車のことを「ミニベロ」と呼ぶことにします。
ミニベロについてよく言われることは、折りたためない小径車なんて意味あるの?ということです。自分もIDIOMを買うまではそう思ってました。だって畳めないんなら普通にロードバイクを輪行するのと変わらないし、わざわざ走らない小径車に乗らなくてもロードバイクで十分やん!と思ってしまうのです。だから特に日本では小径車イコール折りたたみ自転車という風潮があるんですね。それは輪行文化も影響していると思いますが、同じ買うなら畳める方が得だという意識があるからです。
でもここに落とし穴があるんです。折りたたみ自転車というものは見た目に比べて重いため走りません。それはもちろん折りたたみ機構があるせいです。でも実際に折りたたみ自転車を買っても畳むことってめったにないんですよね。前に乗っていたLGS-POPがそうでした。結局畳まないんなら、折りたたみ機構って重たくなるだけの無用の長物です。ほんとに要らないと思いました。初心者ほど折りたたみ自転車を欲しがりますが、それは輪行に便利だと思っているからです。でもホイールを外すことなんて慣れれば何でもないですよ。輪行には重い折りたたみ自転車より軽いミニベロの方が楽なんです。
IDIOMのような軽いミニベロはほんとによく走ります。重くて走らない折りたたみ自転車に乗っても全然楽しくありませんでした。走らない自転車はしんどいだけで乗るのが嫌になります。もちろんロードバイク並みとは言いませんが、ミニベロというのは折りたたみ自転車ともロードバイクとも違う別の乗り物なんだと思います。だからこそロードバイクを持っていてもミニベロに乗る意味はあるんです。ここではミニベロが持つ利点について考えてみましょう。
置き場所が小さくて済む
ミニベロはフルサイズの自転車に比べてフレームが小さいわけではありませんが、ホイール径が小さいため前後合わせて全長がかなり短くなります。この差は玄関先に置くときなど意外と効いてきます。
僕はIDIOMを普段乗りに使っているため外に置いてますが、大雨の時や長期間外出するときなどは玄関に入れることがあります。そういうときロードバイクならホイールが通路に出っ張って非常に邪魔ですが、ミニベロなら通行の邪魔になりません。折りたたみならもっと小さくなるじゃないかという人もいますが、ブロンプトンのような特殊な構造を除いて普通の横折り式自転車は畳むと長さが半分になる代わりに幅が2倍になります。つまり体積は変わらないのです。玄関に置く場合どっちが邪魔かというと、幅を取られる方が圧倒的に邪魔ですね。だから畳んでも意味がありません。
車に積むときは畳める方が有利でしょうけど、1BOX車に乗っていると畳む必要が全くなく、むしろ畳む方が面倒になります。ミニベロなら全長が1.5m前後なので普通のコンパクトカーでも後部座席を倒せば積めるでしょうし、前輪を外せば横向きに積むことも可能でしょう。
ミニベロはホイールが小さいというだけで、フルサイズの自転車に比べて圧倒的に置き場所の自由度が広がるのです。
小回りがきく
ミニベロはフルサイズの自転車に比べてハンドリングがクイックであり、回転半径が小さいことが特徴です。それは不安定さというデメリットにもなりますが、街中では小回りがきくことは大きなメリットになります。ロードバイクなら降りて回さなければならないような路地でも、ミニベロなら乗ったまま転回することが可能です。特に行き先も決めず、ふらふらうろつくようなポタリングには最適な自転車と言えますね。
また一般的にスタンドが付いていてどこにでもすぐ停められることも大きな利点です。もちろんロードバイクにもスタンドを付ければよいのですが、そんなダサいことをする人は誰もいません(笑)。ミニベロはスタンドを付けてもダサくないんですよ。写真を撮りたいときよくあるでしょう、ロードバイクだと立てかける場所がないという状況。スタンドがあればどこでも止まってすぐ写真が撮れます。さらに自転車を入れた構図というのも簡単に撮れるわけですよ。もちろん店に入るときもスタンドがあると置き場所に悩む必要もないし、街乗りではスタンドのないロードバイクは考えられないですね・・
気負わなくてよい
特に強調したいのはここですよ。ロードバイクだと長い距離を走らないといけないとか、速く走らないとカッコ悪いという気負いが必ずあるんですよね。だってロードバイクで10km走ってくるとか、普通考えないでしょ?
ロードバイクに乗ろうと思うと、前の日から最低50kmくらいのコースを考えて、何時に出発しようかとか計画を立てて気合を高めていかないといけないんですよ。朝、急に思い立って「ちょっと行ってくる」という気分にはなかなかなれないのがロードバイクという乗り物です。
それにロードバイクだと普段着で乗るわけにいかないんですよね。上から下までサイクルウェアで固めないと気が済まなくなります。もちろん普段着で乗っていけないわけではないですが、どう考えてもサマにならない。その姿を想像するとダサすぎて乗れなくなります(笑)。その結果、家を出るまでにとても時間と気合いを必要とする乗り物なんですよね・・
でもミニベロならそういう気負いが全く不要なんです。普段着で乗ってもぜんぜん違和感ないし、別に遠くへ行かなくても速く走らなくてもいい。ちょっと離れた公園まで往復10km走って帰ってくるとか、そんなのでも満足できてしまう気楽さがあります。ミニベロは頑張っても25km/hくらいでしか巡航できませんし、もともとゆっくり走るための自転車です。そこには何の気負いもない。昼から天気が良くなってきたのでちょっと走ってくるか、という使い方が自然にできるのがミニベロなのです。結果的にロードバイクだけの時より自転車に乗る機会が格段に増えます。
だからあえて言いましょう、ロードバイクとミニベロを2台持ちする意味は大いにあると・・
コメント
なるほど私的にミニベロの位置決めがあまりよく分かってなかったんですが
意義を理解できました。
いいですね。
ミニベロとMTBなんて自転車ライフではベストセレクトかも・・
>タケヘイさん
(畳めない)ミニベロって、乗ってみないとなかなか意義がわからないものなんですよね・・
自転車はなるべく性格が被らないように揃えるのがベストセレクションでしょう。ロードバイク2台とか使い分けに悩みそうです(笑)。