OSMにはまる

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GPS

先日、OpenStreetMapのデータを利用したGarminデバイス用のフリー地図について紹介しましたけど、単にあるものを使わせてもらうだけでなく、地図を作る方にも興味が出てきました。OSMについてご存じない方のために簡単に説明しておくと、誰もが参加できる著作権フリーの地図作成プロジェクトのことです。例えて言えばWikipediaとまったく同じで、誰もが自由に編集できる仕組みになっています。世界中の人々が参加しているため、新しい情報を追加したり、間違いを修正したりすることがリアルタイムで行われており、日々完成度が高められています。

OSMそのものについてはだいぶ前から存在は知っていたのですが、どういう仕組みで作られているのかまったく知りませんでした。またGoogleマップなどの高機能な地図が無料で利用できるご時世にわざわざ自力で地図を作って何が面白いのだろう?と思ってました。世の中には暇な人がいるもんだなぁ・・くらいの認識しかありませんでした。(笑)

その認識を一変させたのは、やはりGarmin用のフリー地図を体験してからです。それまでフリー地図なんてどうせ出来損ないで使い物にならないと頭から否定していましたが、「これは使える!」と直感させるに十分なものでした。それと同時にこの前のツーリングでたまたま地図の間違いを発見し、自分も地図作りに参加してみたい衝動に駆られました。そしてやってみたらこれがなかなか面白い! 何で金にもならないことに熱中するヒマ人がいるのか少し理解できた気がしました。(笑)

地図作りに参加と言ったら何か大層な気がしますが、別に特別な人が作っているわけでも何でもないんです。参加資格は一切不要、誰でもアカウントを作成するだけですぐに参加できます。そして編集内容はほぼリアルタイムにマップ上に反映されますので、自分の提供した情報が世界中で共有される喜びを得ることができます。これって素晴らしいと思いませんか? またGarmin用のフリー地図もOSMのデータを元にして作られているため、1ヶ月以内にデータが更新され、新しい地図を得ることができます。つまり自分がOSMに情報を提供すればするほど、さらに充実した地図が得られるというメリットが自分にも返ってくるのです。だから単にタダでダウンロードして使うだけじゃなく、自分も参画して情報を充実させた方がはるかに楽しいと思うんですよ。


これまで地図の編集方法がまったくわかっていなかったので、とりあえずアカウントを作成してやってみました。一応やり方はOpenStreetMap Wikiにまとめられているので、ざっと読めばおおよそわかると思います。

osm_edit1
ログインして編集モードに入ると、背景に航空写真がオーバーレイされた地図が表示されます。データはポイント、ライン、エリアの3種類があり、ポイントは店舗などのスポット情報、ラインは道路など、エリアは公園や森林などを描画するのに用います。

データの作成方法は基本的には二通りあり、航空写真をトレースするか、自分で取得したGPSログをアップロードすることもできます。航空写真で視認できる場合は直接トレースするのが一番楽で正確ですが、最近開通した道路などは航空写真にも写っていないため、自分でGPSログを取得すると、いち早く地図に反映させることができます。

まずはポイントの作成からやってみるのが一番簡単だと思います。やり方は「ポイント」ツールをクリックした後、航空写真上の任意の地点をクリックしてマーカーを作成し、あとは「タグ付け」を行うだけです。タグにはいろんな項目がありますが、とりあえず名前だけ入力すれば十分です。どんなポイントを作成するかも基本的には自由です。コンビニや飲食店などはもちろんですが、たとえば公衆トイレや自動販売機など、他の人の役に立つと思える情報なら何でも追加することができます。一応カテゴリ分けのルールはあるのですが、適切なものがないと思ったら新たなカテゴリを提案することもできます。

osm_edit2
これがこの前のツーリングで間違いに気づいた部分です。県道138号線のルートが一部違っていたのを修正しておきました。もうすでに地図に反映されています。

道路の場合はもうちょっと複雑ですが、基本的にはラインツールで線を引いてタグ付けするだけです。カテゴリ分けは日本国内のルールがありますのでそれに従います。3桁の都道府県道の場合は「一般地方道」という扱いになります。路線番号だけでなく、路線名も付けることができますので、まだ付いていない道に片っ端から付けていくと自分がGPSを利用する際に便利になると思います。

現在網羅されている道路のほとんどは2011年にYahoo!Japanによって提供されたデータによるもので、近年OSMが急速に充実してきたのはそのためです。しかしそのデータの大元は少々古い国土地理院の25000分の1地形図に基づいているため、山間部の林道などではまだ収録されていない部分もあります。そういう道を自転車で走ってGPSログを取得し、誰よりも早く地図に反映させたら面白いと思いませんか? また自分だけが知ってる秘密の抜け道みたいなのがあるでしょう? 車は通れないけど自転車や徒歩なら通れる細道とか・・。そういう道も「小道」として登録できますので、自分でGPSログを取得して登録してみると面白いと思います。それを誰かが使ってくれるかもしれないのですから・・

最近はGoogleマップでも新しいポイントを作成できるようになっていますので、それ自体はあまり感動がないかもしれません。しかしGoogleマップでは新しいポイントを追加する以外のことは許されていません。ユーザーがタッチできるのはそれだけです。一方、OSMでは基本的にすべての情報を自分で編集することが可能です。つまり自分が作ったものと他人が作ったものの区別がまったくないのです。他人の作った情報を編集したり削除することも自由です。たとえばコンビニなどは変化が激しいので、久しぶりに行ったら潰れていたということもよくありますよね。そんなときはデータを削除して更新することができます。こうやって複数の人が関わることによって常に正確で新しい情報に更新されていくのです。その一方で誤ってデータを破壊してしまう危険性もありますので、それだけは注意しなければなりません。

自分が住んでいる地域の情報というのはやはり自分が一番よく知っているわけですから、それを他の人にも共有してもらうというのは楽しいことだと思うんですよね。そうやって作った地図をまた自分もGPSで利用するという二重の喜びが生まれます。この楽しみを知ってしまうと、ただ与えられるだけの市販地図なんて「つまんね~」と思うようになるでしょう。

地図作りの情報集めは実地調査が基本になります。状況は日々変化していますから、地図の情報が正しいかどうかは現地に行ってみないとわかりません。その実地調査こそがツーリングの目的になり得ます。僕が自転車に飽きて乗るのが嫌になるのは目的がないからなんですね・・。自転車乗るのに目的なんか必要ない!というご意見はもっともですが、僕の場合、目的がないとすぐ飽きちゃうんです。練習じゃないんで、同じ道何回走っても面白くも何ともないですから・・。でも地図作りのためのGPSログ取得と実地調査を目的にすれば、今まで通ったことのない道、気づかなかったポイントなども再発見できて面白いと思うのです。これは自転車嫌いを乗り越える最良の方法かもしれません。(笑)

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