これは拙作ソフトウェア『轍 Wadachi』の話ですので、興味のない方は読まなくて結構です。
今年の4月頃から国土地理院の標高データを利用した「標高書き換え」機能がエラーで動作しなくなる不具合が確認されております。原因は国土地理院のサーバー側でSSLのプロトコルが変更されたためと思われます。おそらくはセキュリティーレベルの強化でしょう。復旧を試みましたが、現有のライブラリでは最新のプロトコルに対応していないため無理と諦めました。
次バージョンより当該機能を削除する旨、アナウンスしていましたが、その代替として新たな機能を追加しました。全自動ではなく手入力になりますが、あらかじめわかっている標高を利用して補正するというものです。
一般的にGPSは水平精度に比べて垂直精度は大きく劣るため、標高にはばらつきが生じます。気圧高度計を内蔵している場合は比較的正確ですが、それでも途中で気圧変化があると誤差が出てしまいます。
Garminのサイコンのようにマニュアルで標高を校正できる機種はいいのですが、そうでないサイコンでは一定量だけ高くなったり低くなったりするケースがよくあります。つまりスタート地点の標高がズレていれば、ずっとズレたままになってしまいます。
その場合でも、スタート地点の標高が地図などから正確にわかっていればズレ量を推定することができ、その分を足したり引いたりすれば正しい標高に直せると考えられます。そのような考え方から新しい標高補正機能を実装しました。本機能では単純な加算のほか、3通りの方法で補正できるようになっています。
ダウンロード
もはや誰も知らないと思いますので、一応ソフトの入手方法を書いておきます。以下のサイトから最新版の『轍 Wadachi Ver.4.27』をダウンロードして下さい。
言うまでもないですが、本ソフトはWindows専用です。スマホアプリではありません。今どきPCなんて誰も使ってないと思いますので、全く需要のないソフトです(爆)。
使用方法
詳しい使用方法は省略しますが、普段通りGPXのログをインポートして、トラックタブを開きます。そして目的のトラックを選択した後、「標高補正」ボタンをクリックすると次のダイアログボックスが開きます。
ここでまず、どの方法で補正するかを左端のラジオボタンで選択します。
単純加算
単純に一定の数値を加算するモードです。負の数を指定すれば減算になります。スタートからゴールまで一定量だけズレていると思われる場合に有効です。
始点終点を指定
ログの始点と終点の標高を入力して補正するモードです。一般的に周回コースでは始点と終点の標高は一致するはずですが、実際には途中の気圧変化により一致しないケースもよくあります。そのような場合、始点と終点の標高が一致するように補正できます。もちろん始点と終点は別々に指定できますので、スタートとゴールが異なる場合にも利用できます。
最高最低を指定
地図などから最高地点と最低地点の標高がわかっている場合、それを入力して補正するモードです。ログの最高点と最低点が指定された標高に一致するように比例計算で伸長または圧縮されます。獲得標高が正しくないと思われる場合に有効です。