実走日:2004年4月29日(木)
コース:下井阪~沖野々~黒沢牧場~金屋~宇井苔~皆瀬~愛口~初湯川~猪谷~上越方~三十木~下田原~高津尾~坂本~和佐~御坊
桜井在住のcancanさんがR424で美山村まで行くというのでそれに便乗させてもらうことにした。参加者は他に輪童さんと九度山人さんを含め計4人。他の3人はみな自走なのであるが、さすがに天理から自走は無理なので自分は打田町まで輪行することにする。ところが天理の始発が6:43と遅く、それで行くと打田到着が9時過ぎになり、自走組には30分ほど待ってもらわなければならない。今回はハードスケジュールのため時間的余裕がなく、それでは迷惑をかけてしまう。そこで自分だけ一部別ルートをとり、R424経由で金屋町まで先行するという案を考えた。自走組は県道海南金屋線で行くので距離がやや長く、標高が100mほど高い。それなら30分程度の差は十分吸収できるだろうと読んだからである。金屋町役場で待ち合わせることにして、打田の一つ先の下井阪まで輪行する。9:07に到着し、無人駅なのでそのままホームで組み立てて9:25頃出発。
国道24号を渡り、旧国道との交差点にあるセブンイレブンで食料を補給。井阪橋を渡って国道424号との交差点に着く。このあたりは昨年の秋に走っているので覚えている。ここは直進せずに右折して旧国道に入る。国道バイパスはアップダウンが多く、こちらの旧道を走った方がずいぶん楽だ。調月で国道424号に合流してあとはまっすぐ走る。高尾付近でゆるい上りがある以外はほぼ平坦である。後ろから「こんにちは~」という声がしてロードレーサーに抜かれた。あっという間に視界から消え去る。速い・・。特に向かい風もなく、快調に飛ばしていくと海南市沖野々で国道370号に突き当たる。標識には424号は右折するように書かれているのでその通り右折する。ところが424号の入口が大変わかりにくい。5万図を見ると424号は何と黒線道になっているのだ。沖野々の集落を抜ける細い道のようだが、標識も全くなく、どこから入っていいのかわからない。おそらく最近新しい道ができて車はそちらへ誘導するようになっているのだろう。でも遠回りさせられるのは嫌なので、適当に集落を抜けて木津を通る広い道に出る。さてどちらへ曲がってよいのか悩むが、直感で左折して数百m走ると424号に出た。結局1kmほど遠回りしたかもしれない。次ヶ谷を過ぎると次第に山が迫り、ゆるやかに上り始める。また後ろから「こんにちは~」と声がしてロードレーサーに抜かれた。今日は雲一つない快晴、気温も快適ですがすがしい。山々の新緑が実に鮮やかだ。土谷付近ではこれから上っていく山が正面に見え、気分が盛り上がる。
改良された区間も土谷で終わり、あとは1.5車線程度の狭い道となる。何回かヘアピンを繰り返しながらぐんぐん高度を上げていく。一ヶ所だけ10パーセントを超えるようなところがあったが、それ以外はほとんどゆるやかな勾配で大変上りやすい。何と言っても車がほとんど来ないのがありがたい。高度が上がるごとに展望が開けてとても気分がよい。峠までもう少しというところで先ほど抜かれたロードレーサー氏が下ってきた。もう折り返してきたのか、速いなぁ・・。峠が近づくと「太陽の丘」という施設があり、勾配もゆるやかになってくる。もう2~3回カーブを曲がると頂上の黒沢牧場に到着する。緑の草原が広がり、のんびりした雰囲気である。時刻は11:10頃。
とりあえずこれで最大の難関は突破したので気は楽だ。金屋町役場まで下り10kmほどだから所要20分くらいだろうか。自走組もだいたい同じくらいの到着が予想されるのであまりのんびりもしていられない。この峠には名前はないようで、せっかく苦労して越えたのに峠にカウントできず寂しい。10分ほど休憩して下り始める。最初急な下りが続いて彦ヶ瀬で谷筋に出るとゆるやかな下りとなる。ここから左手には生石高原の山並みが広がり、中腹に点在する集落との取り合わせが美しい。通り過ぎるには惜しい風景なので写真をたくさん撮っておく。
金屋町側の方が改良が進んでおらず、ほとんど1車線である。そのおかげで車はほとんど来ない。実に快適な下りだ。谷筋をずっと下って小川まで来るとやっと町に出てきた感じとなる。そこからもう少しで金屋町の市街に入るはずだが、どうも市街地を外れているようでなかなか町の中に出ない。ひょっとして行き過ぎたかと思っているうちに「金屋町役場」の標識が現れ、それにしたがって右折する。どうやら地図には載っていないバイパスに入ってしまったようだ。
役場には11:45到着。ひょっとして自走組はもう着いているのではないかと思ったが、どこにも姿はなかった。早速掲示板に書き込みを入れるとまだ自走組の書き込みはない。まだ峠に着いていないのだろうか? とりあえずこのまま待つことにする。朝が早かったのでここでお先に昼食をとらせてもらう。正午過ぎにもう一度掲示板をチェックしてみるとcancanさんの書き込みがあり、今ピークに到着したとのこと。あとは下りだから20分くらいで着くだろうか。気長に待つことにする。とりあえず自分の方が遅れなくて良かった。予想通り20分少々でcancanさんが走ってくるのが見えた。続いて輪童さんと九度山人さんが到着。しばし雑談してここから4人旅の始まり。
ここからは昨年の春も走っているのでよく覚えている。川沿いに出るまでは少々アップダウンが続き、やがて有田川に沿ってゆるやかな上り勾配となる。松原付近の商店前で休憩し、昼食がまだの3人が食事中。再び走り始めて修理川の集落を過ぎるとだんだん勾配がきつくなってくる。といっても決して急坂ではないのだが、ジリジリと上り詰める結構嫌な上りである。このあたりは改良が進んでおらず、1.5車線区間が残っている。輪童さんと九度山人さんは既に70km以上走っているためかなり遅れてきているようだ。cancanさんと二人で先行して道の駅しらまに到着。しばらくして後続の二人も到着。ここでちょっと休憩してアイスを食べたり、車で山登りに来た人に道を教えていたりした。
道の駅からはあと一息で白馬トンネルに着く。現在も旧道が残っているが、このトンネルができる前はとんでもなく酷い道だったのだ。トンネルは途中までやや上りになっていてかなり長く感じる。抜けるまでずいぶん時間がかかったように思うが、それでも長さは1300m少々らしい。
トンネルを抜けると一気に下って美山村に到着だ。ここでいったん国道424号と別れ、県道上初湯川皆瀬線に入る。当初の計画では桂木峠と法事峠を越えて初湯川沿いに下る予定であったが、時間が大幅に超過しているため予定変更して打尾隧道でショートカットすることになった。
打尾の手前の分岐を左に入って上り始めるが、これが結構きつい。標高差100mを一気に上る急坂である。本日一番の急勾配であり、これだけの距離を走った後だからかなり堪える。でも展望はよく、時々見え隠れする日高川の眺めは絶景だ。トンネルには輪童さんが一番乗りで到着。短いが狭くて暗い打尾隧道を抜けて後続を待っていると地元の小学生がママチャリで上ってきたりする。さすが山の子は元気だなぁ・・
突き当たりの三差路を右折すると愛川沿いの下りだが、また少し上って平の集落に到着する。今日は藤まつりをやっているのか、かなり車の出入りがあって賑わっている。そしてまた上り・・。やっとのことで椿山ダムの畔に出た。ここから平坦と思っていたらまたジリジリと上りが始まり、鍵原隧道まで続く。疲労が一番ピークに達しているときだった。鍵原隧道を抜けるとちょっと下りだが、猪谷橋で左折して目的地の美山療養温泉館を目指す。ゆるいながらも猪谷川沿いにまた2kmほど上りが続く。川沿いは木陰に入るとちょっと寒いくらい。やっとのことで15:15頃、美山療養温泉館に到着。
温泉の建物は廃校の跡地を利用した素朴なもので、小ぢんまりとして思ったほど人も多くない。アルカリ泉特有のぬるぬるした感触が心地よい。ここの管理人さんは昔自転車で北海道などをツーリングしたことがあるそうで、cancanさんらと自転車の話に花を咲かせていた。温泉で1時間ほど休憩していよいよ帰途に就くが、和佐までまだ40km弱残っている。時間はすでに4時を回っており、当初目標としていた和佐17:09発の列車には乗れそうもない。まあ焦らずに行こうということになったが、全然のんびりとは走らせてくれなかった。普通、温泉に入ったら走る気がしなくなるのでそれが一番心配だった。ところが温泉で疲れが取れたのか、心なしか体が軽くなったような気がする。再び猪谷橋まで下り、今度は鍵原隧道を経由せずに対岸の旧国道を走る。cancanさんと輪童さんはどんどんペースが上がる。途中、滝頭付近と浅間峠での上り返しが結構辛い。浅間峠を越えて上越方で橋を渡り、対岸の県道御坊美山線に移る。
相変わらず超ハイペースで飛ばしまくり、三十木橋でやっと小休止。そろそろ帰りの時間が気になってきたため、cancanさんが携帯でダイヤ検索をしている。和歌山線で帰るためには和佐18:50の列車に乗らなければならないが、あと1時間で走るのはかなり厳しそうだ。ここから御坊美山線をまっすぐ行けば最短距離だが、株井トンネルまで100mほど上らなければならない。それを避けるため、cancanさんは新しく開通した「かまきりトンネル」を通るという賭けに出た。もし外したら大ひんしゅくである。三十木橋を渡り、日高川沿いに雰囲気のいい道を走る。そして下田原で橋が見える頃、対岸にかまきりトンネルが下に見えた。つまり大正解である。距離的にはちょっと遠回りになったが、まったく上らずに済んだのだ。これでcancanさんも面目躍如といったところである。かまきりトンネルは真新しくて立派なトンネルだが、交通量はほとんどない。
トンネルを抜けるとちょっと下ってすぐ高津尾の交差点だ。cancanさんはまた携帯でダイヤ検索をしているので先に行ってくれと言い、3人で先に走る。輪童さんが「ぼちぼち行ってます」と言いつつ、30km/h前後を保ちながら思いっきり飛ばすのでついて行けない。それにピッタリ追従する九度山人さんは凄い。早く止まってくれと思いつつ、上滝本でやっと停止。cancanさんがなかなか来ない。数分して追いついてきたcancanさんは「姿が見えないので道を間違えたのかと思った」とあきれていた。この先、道の駅SanPin中津で小休止。やはり18:50の列車は無理なのであきらめてゆっくり行こうということになった。少し先の坂本橋を渡り、県道船津和佐線に入り、ラストスパート。既に日は傾き、夕暮れが近づいている。のんびり行こうと言ってるのにめちゃくちゃ飛ばす。cancanさんと輪童さんがリードし、それに少し遅れて追従する九度山人さん。最初は自分も何とかついて行ったが、次第に九度山人さんとの距離が開き、ちぎれてしまった。いったんちぎれたらもうついて行けない。飛ばせば何とか間に合うという気持ちがあるのだろうか。それにしても九度山人さんの爆走ぶりには脱帽である。
日が落ちて薄暗くなってきた頃、ようやく和佐駅に到着。18:40頃だから自転車さえなければもちろん余裕で乗れる。しかし輪行準備の時間を考えるとあきらめざるを得ない。仮に無理やり詰め込んでも食べ物を買う暇はないし、次の電車まで待っても周りには店が全くないので帰るまで空腹を我慢しなければならない。そこで輪童さんが御坊まで走ろうと言い出した。御坊まで行けば食料が調達できるだろうからである。御坊まであと6kmほどだが、ここへ来てもう走りたくはない。これにはさすがのcancanさんもあきれ顔だった。こういう時、食べ物をとるか、楽をとるかは性格が表れると思う。自分なら絶対楽をとる。それほど輪童さんの食べ物への執着が強い。cancanさんも渋々了解したようで、また御坊へ向けて走り出す。いよいよ薄暗くなってきてライトを点灯し、ナイトランとなった。まさかナイトランをするとは想像していなかった。川沿いに走って道成寺までは順調だったのだが、前方に赤色灯が点滅し、近づいてみると救急車やパトカーが停まっていて物々しい雰囲気。周りには野次馬が大勢集まっている。何事かとよく見ると、派手に壊れた軽自動車が路肩にあり、交通事故のようだ。道路は通行止めにされ、警官に迂回するよう指示される。左折したものの、果たしてどこへ抜けられるのか全くわからない。それでもcancanさんはまるで地元の人のようにどんどん進んでいく。なぜこんな道を知っているのかと不思議に思うが、実は駅の裏側にある山が目標になるとのこと。さすがは紀伊半島の超人である。ちょっと遠回りさせられたが、午後7時過ぎ、やっと御坊駅に到着した。すでに109km近くを走っている。100kmオーバーはおそらく8年ぶりの快挙になるだろう。それでも今日は温泉を出てからすこぶる快調である。まだまだ走り続けられそうな気がした。
ところが駅前にはコンビニ1軒もなく、駅の売店も閉まりかけている。何と言うことだ。皆が輪行の準備をしている間、cancanさんが唯一の土産物屋に駆け込んで竹輪やチョコを買ってきてくれた。今からだと19:32の和歌山行きに乗れそうだ。そそくさと準備を済ませ、電車に乗り込む。車内でおやつを食べて、とりあえず空腹はしのげた。この後、和歌山で九度山人さんと別れ、さらに天王寺でcancanさん、輪童さんと別れた。自分は天王寺から大和路線で帰る予定であったが、よりによってこんな時に信号機故障で大和路線が大幅に遅れるというアナウンスが入った。いつまで待っても電車は来ない。ホームには溜まりに溜まった乗客があふれ返っている。このままでは桜井線の最終に間に合わない。第一、この状況では自転車を持って乗り込むことなど不可能だ。とっさの機転で環状線に乗り込み、鶴橋から近鉄で帰って事なきを得た。当然運賃は近鉄線に振り替えてもらえた。家に着いたら11時半だった。最後の最後でとんだ災難に遭ったが、久々に長距離を走って充実した一日であった。
走行距離 | 走行時間 | 平均速度 | 最高速度 | 最高地点 | 最大標高差 |
108.96km | 5:47:37 | 18.8km/h | 48.5km/h | 400m 黒沢ハイランド |
395m |