Fire HD 8を買ってから約1ヶ月半、ほぼ毎日Kindle本の読書などに使ってきました。おかげで2年前に買ったnexus7はほとんど出番がなくなっています。
実際に使ってみて、性能的にはどちらも大差ないという印象でした。あくまでも感覚的なものですが、現在のレベルから言っても通常使用するのにまったく問題のない性能を持っています。しかしnexus7の出番が少なくなってもったいないので、厳密にベンチマークをやってみたらどっちが速いんだろう?ということに興味があり、ベンチマークをやって比較してみました。
CPUスペック
CPU-ZというアプリでCPUの詳細情報を取得してみました。
Fire HD 8はARMのCoretex-A53 1.30GHzを搭載。
nexus7はQualcommのSnapdragon 600 1.51GHzを搭載。
ともに4コアであることには違いありません。もちろんCoretex-A53の方が世代は新しいでしょう。世代が違うので単純比較はできませんが、クロック周波数はnexus7の方が若干高くなっています。
CPUベンチマーク
Geekbench 4というアプリを使ってCPUのベンチマークテストを行いました。
Fire HD 8
総合スコアはシングルコアが601で、マルチコアが1590でした。
シングルコア時の詳細内訳。
マルチコア時の詳細内訳。
nexus 7
総合スコアはシングルコアが690で、マルチコアが1693でした。
シングルコア時の詳細内訳。
マルチコア時の詳細内訳。
総評
スコア全体としてはnexus7の方が若干上回っています。やはりクロック周波数の差でしょうか?
項目別で見ると、整数演算はFire HD 8が若干上回り、それ以外はすべてnexus7の方がやや優位でした。シングル、マルチともに変わりはありません。
絶対的な処理能力はnexus7の方がやや上回っているといえますが、この程度の差は体感できるほどではないでしょう。したがって、処理能力的にはほぼ互角と考えてよいと思います。
GPUベンチマーク
同じくGeekbench 4を使ってグラフィックスを処理するGPUの性能を比較してみました。
Fire HD 8の総合スコアは802でした。詳細内訳はその下の欄をご覧下さい。
nexus7の総合スコアは1397でした。詳細内訳はその下の欄をご覧下さい。
意外にも、グラフィック能力はnexus7の方が1.5倍程度速いという結果が出ました。詳細を見てもすべての項目でnexus7が上回っています。このくらい差があれば体感としてわかるレベルでしょう。
解像度
ディスプレイのサイズはFire HD 8が8インチで1280×800ピクセル。一方nexus7は7インチで1920×1200ピクセルという違いがあります。解像度で比較すれば、Fire HD 8が188dpi、nexus7が323dpiということになりますから、2倍近い差があると言えます。
それでは実際にChromeでYahoo! Japanのトップページを表示させてみて、どのように見えるか比較してみます。まず全体表示にしたときに見える範囲を比較してみましょう。
Fire HD 8
nexus7
Fire HD 8の方が画面が大きいのでもっと広い範囲が見えるのかと思ったら、そうじゃないんですね。見える範囲というのはディスプレイのサイズと関係なく、まったく同じでした。
次に文字がどのように見えるか、中央ニュース囲みの部分をピクセル等倍で表示してみます。
Fire HD 8では文字が潰れて読みづらくなります。
nexus7では文字が潰れていないのではっきり読めます。
両者の大きさの違いがそのまま解像度の差ということです。つまりnexus7の方が画面上での文字サイズは小さくなりますが、高精細で潰れていないためはっきり読み取れます。一方Fire HD 8は細かい文字になると潰れてほとんど読めなくなります。この違いは大きいです。
結論
nexus7はすでに4年前の機材ですが、最新のFire HD 8を上回る性能を持っていることに驚きました。OSもすでにAndroid 6.0.1にアップデートされてますし、まだまだ現役で使える機材なんですね。
とは言ってもFire HD 8もほぼ互角くらいの性能を持っていますから、プライム会員で8,980円で買えるならばコストパフォーマンスは非常に高いと言えます。体感的に遅いと感じることは全くありません。本来の使い方であるプライムビデオやKindleコンテンツを楽しむだけであればそれで十分です。
Andorid OSとの違い
FireタブレットにはFire OSというAndroidベースのOSが搭載されているため、裏技でGoogle Playをインストールして普通のAndroidタブレットのように使うこともできます(もちろん自己責任ですが)。ただし完全にAndroidになるわけではありません。ホーム画面のカスタマイズやウィジェットが使えないという制約があります。Fire OSではAndroidのようによく使うアプリだけをホーム画面に貼り付けることができず、すべてのアプリが平面的に並んでしまうため、使い勝手が悪いと感じることがあります。
そしてもう一つの大きな制約はGPSを内蔵していないため、GPSを必須とする地図アプリのほとんどはインストールすらできません。どういうわけかGoogleマップだけはインストールできましたが、もちろんナビとしては使えません。地図アプリに限らず、天気予報など位置情報を取得するアプリもインストールできませんでした(裏技としてスマホからapkを抜き出してインストールすることは可能です)。
またFire端末はAmazonアカウントと紐付けされているため、通常のAndroid OSとはアカウントの管理方法が異なります。GoogleアカウントはGoogleアプリで後付けされる形になるため、複数のGoogleアカウントを同時に使うと管理がうまくできない場合があります。
解像度の差は決定的
両機を比較してみて決定的に違うと感じたのは解像度の差でした。Fire HD 8を単体で見ればそれほど気にならないと思いますが、一度nexus7の高精細な画面を見てしまうと明らかに粗いと感じます。特にKindleで固定レイアウトの雑誌を読むときにはこの差は大きく効いてきます。Fire HD 8ではいちいち拡大表示しないと読めないのが、nexus7では全体表示のまま読めてしまいます。PCの大画面よりも精細に見えるのには驚きました。
バッテリー寿命はFire HD 8の方が長い
一方でバッテリー寿命は明らかにFire HD 8の方が長いと感じます。nexus7はあまりバッテリーの保ちが良くないので、連続で使うと4~5時間くらいしか保ちません。でもFire HD 8はなかなかバッテリーが減りません。実際に測定したわけではありませんが、ビデオを連続で3時間ほど再生してもまだ70%以上残っている状態でした。公称の12時間はオーバーとしても、連続8時間くらいは行けるのではないか?と思います。
初めてのタブレットとしてはおすすめ
映画などを長時間視聴するには、バッテリーの保ちが良いFire HD 8が向いていると思います。動画ならば解像度は問題にならないからです。一方でウェブ閲覧やKindleコンテンツなど文字主体で楽しむには、解像度の高いnexus7の方が向いています。拡大しなくても全体が読めるのは紙の書籍に近く、非常に快適です。
結論としては、そこそこの性能のあるAndroidタブレットを持っているのであれば、わざわざFire HD 8を買うほどのことはないと思います。Amazonコンテンツのほとんどはアプリをインストールすれば普通のAndroidタブレットでも楽しめるからです。
一方でタブレットが初めての人や、古い機種で買い換えを考えている人には十分検討に値すると思います。プライム会員あるいはセールで1万円を切っているなら間違いなくお買い得です。標準のAndroidに比べて若干の制約はありますが、現時点でサクサクと気持ちよく動くため性能的には十分だと思います。同じ性能のAndroidタブレットを買うなら17,000~18,000円くらいはするので、それを考えるとコストパフォーマンスは高いです。