最近は自転車ブームと言われており、趣味として自転車に乗り始める人がますます増え続けています。それは良いことなのですが、その一方で自転車をやめていく人も少なくありません。ネットオークションなどを眺めていると、購入したばかりの新しい自転車が売りに出されているのを目にすることもあります。その多くは「乗らなくなったから」という理由によるものです。自転車を始める人が増えれば増えるほど、やめる人もまた増え続けているのです。
自分の周りを見ても、十数年前から付き合いのある人で今も自転車に乗っている人はむしろ少数派で、半分以上は何らかの理由でやめていっています。自分もその一人かもしれません(爆)。今は自転車が楽しくて仕方ないと思っている人もいずれやめる時が来るかもしれないのです。一つのことを長く続けるということはそれほど難しいことです。物事にはすべて始まりがあれば終わりもあるのです。しかしなぜか「自転車をやめる」というネガティブな面はクローズアップされない気がします。そこで「自転車をやめる」理由について自分の経験から考察してみたいと思います。
1. 仕事が忙しくなった
一番多いのはこれかもしれません。若いときは比較的自由に休ませてもらえたのが、年齢が上がるにつれて責任ある立場になり、土日も満足に休めないというケースが増えてきます。この場合、時間が経てば暇になるということはあり得ないので、会社を辞めない限り自転車に乗れる時間は確保できません。したがって再び戻ってくる可能性は低いです。
また土日がしっかり休めるという人でも、平日の仕事があまりにもハードすぎて土日は寝て過ごすという人も多いでしょう。いくら若い人でも過労は自転車に乗る気力さえ奪います。
2. 家庭環境の変化
この中で一番多いのは結婚あるいは子供が産まれたというケースでしょう。結婚を機に自由な時間が取りにくくなり、自転車を離れていく人は少なくありません。さらに子供までできるといくら男性であっても育児を放棄して自転車で遊んでるわけに行きませんから、少なくとも子供が小学校に上がるまでは手が離せなくなります。また大きくなっても家族サービスに時間を取られ、自由に動くことができません。これは配偶者が自転車に理解があるかないかで大きく違ってきます。一生自転車に乗り続けたければ、自転車に理解のある相手と結婚する以外にないのです。まあ一般的に自転車は嫌われますから配偶者の理解を得ることは非常に難しく、自転車をあきらめるか結婚をあきらめるかどっちかでしょうね(爆)。
またそれ以外に親の介護や家人の看病といった問題もあるでしょうし、転勤によって自転車に乗りやすい環境ではなくなったという原因もあるでしょう。都会で自転車に乗るのは楽しくないですからね・・
3. 怪我や病気
骨折のような大けがをしたら自転車に乗れないのは当然ですが、病気で入院したのをきっかけにやむなく自転車から離れてしまうケースも往々にしてありますね。その場合、再び自転車に乗ることを目標にしてモチベーションを維持できればいいのですが、それは本人の意志次第でしょう。たとえ快復したとしても自転車に乗る意欲を失っていることも多いのです。
命にかかわるような病気でなくても、自転車に乗ることに支障を来す最大の原因は「腰痛」ではないかと思います。これが原因で自転車をやめた人を何人も知っています。確かに腰痛は慢性化しやすく自転車に乗ることは厳しいでしょう。自分は腰痛になったことがないのでその辛さがわからないんですが、言葉では表現できないほど辛いものらしいです。
4. 体力の衰え
加齢による体力の衰えを理由に自転車をやめていく人は多いです。特に競技系の人は体力に衰えを感じたら引退ということになりやすいようです。プロ選手は常に全力で戦わなければならないので、引退は誰にでも必ずやってくる宿命です。
しかしプロ選手でない人が年齢を理由に引退というのはちょっとおかしいと思うんですよね。ホビーレースは年齢別に区分されてますから、その年代の中で頑張ればいいだけでしょう? 50歳過ぎてから自転車を始める人はいくらでもいますし、80歳過ぎても元気に乗っている人を知っています。安全に自転車に乗れないほど機能が衰えたら別ですが、自転車に乗って楽しむということは本来年齢には関係ないはずなんですよ。
坂がしんどいと言うのなら坂のないコースを選べばいいし、遠くへ行く体力がなくなったら近場で楽しめばいいだけのことです。
結局、年齢を理由に自転車をやめる人は他に何か理由があるんですよね。年齢は言い訳に過ぎないんです。まあ自分もその一人だと思ってますが・・(爆)
5. しんどい
最近は「弱虫ペダル」などのアニメの影響でロードバイクを始める人が増えているようです。「こころ旅」に刺激されて乗り始めた中高年も少なくないようですね。つまりミーハーです。何となく流行ってるからとか、カッコ良さそうだからという理由でロードバイクを購入して乗り始めるんですが、いざ乗ってみると「坂がこんなにつらいとは思わなかった」とか言うんですよね。そりゃ見るのと実際に乗るのとでは大違いですよ。自転車はそんな甘いもんやおまへんで!
現実の厳しさを知ってそこから踏ん張ってくれればいいんですが、ほとんどの人は音を上げてやめちゃいます。短期間で売りに出されている自転車の大半はこのパターンでしょうね・・
6. 飽きた
自転車というものは本質的にマンネリ化しやすいものと思っています。初めの頃は誰しもこんなに遠くまで行けたとか、こんなに速く走れるようになったとか感動があるものですが、やがてそれが当たり前になると感動がなくなります。そして家の近くはどこも行ったとこばかりになってしまいます。そこで次は輪行などで遠征を始めるわけですが、それも行き尽くしてしまうと行くところがなくなります。自分がまさにこのパターンで、日本全国行き尽くして行くところがなくなりました(爆)。
毎回毎回、同じところばっかり走って楽しいですか? 僕は絶対無理です。飽きやすい性格なんで、同じことを繰り返すのを何よりも嫌います。一度行った場所は最低1ヶ月は空けないと行く気しないですね。二日続けて同じ場所へ行くなんて拷問としか思えません(爆)。自転車を長く続ければ続けるほどマンネリ化が進行していきます。マンネリこそ自転車の最大の敵です。
7. 興味が他に移った
別に自転車が嫌いになったわけではないけど、他にもっと熱中するものができて自転車から離れてしまうというパターンです。基本的に人間はシングルタスクなんです。同時に複数のことはできなくなっているんですね。ですから他に興味が移れば全部そっちへ行ってしまいます。自分も1997年頃から登山にはまった時期があり、自転車からは完全に離れていたのを思い出します。やっぱり一つのことしかできないんですよ・・
このパターンは多趣味で移り気な人に多い気がします。それだけに戻ってくる可能性が高いのも特徴です。
8. 燃え尽きた
比較的稀なケースかもしれませんが、一時期ものすごく自転車に熱中していて、「自転車こそわが人生」みたいな感じだった人が突然パッタリやめてしまうことがあります。どういう心境の変化かわかりませんが、やることを全部やり尽くしてしまって「もういい」という感じになるんでしょうかね? こういうパターンの場合、もう二度と戻ってこないことが多いです。
長く続けるためには?
まったく結論のない記事になってしまいますが、結局自転車をやめるには何らかの個人的事情というものがあるんですね。僕は典型的な6.のパターンですね(笑)。7.の要素も多分にありそうです。
一度やめた人は二度と戻ってこないことが普通です。身の回りでカムバックはめったに見たことがありません。特に2.の理由などはその原因がなくなれば戻れそうな気がしますが、実際には体力が落ちたとか、興味がなくなったとかいう理由で戻ってくることはありません。一度失った情熱を元に戻すことは容易ではないのです。
一時期猛烈に入れ込んでいた人ほど冷めるのも早い気がしますね。何事もやり過ぎが一番いけません。自転車を長く続けるためには、「ゆる~く、ほどほどに」が秘訣なんですよ。