最近、身の回りで自転車からランニングやウォーキング、登山などの活動に移行していく人が増えている気がします。まあ昔からそういう流れはあったんですけど、不思議とその逆の流れは見かけないんですよね。やっぱりこの現象には一定の傾向があるんじゃないかという気がします。
自分もそろそろ登山に転向していこうかなと思い始めています。自分の昔の記録とか、YouTubeの登山動画などを観ているとやっぱり山はいいなと思うのです。歩いてしか行けない場所を含めると日本にはまだまだ知らない場所がたくさんあるんですよね。登山なんて昔からやっているというか、そっちがメインだったんですけど、腸脛靭帯炎に悩まされるようになり一時登山から遠ざかっていました。それが去年あたりから完治したような気がして、もう長時間の登山も大丈夫だという自信が出てきました。復帰するにはいいタイミングでしょう。
別に自転車をやめるわけではないですが、一定の距離を置こうと思ってます。自転車が趣味の中で最も優れているという考え方には賛同できません。何にでも良い面もあれば悪い面もあるんです。自転車命の人には気分悪いかもしれませんが、自転車から他に流れる理由について考えてみます。
自転車は機材依存
言うまでもないですが、サイクリングは自転車という「機材」がなければ始まりません。最初から機材スポーツという性格を持っています。どんな趣味にも言えますが、多かれ少なかれ機材は必要です。しかしあらゆるスポーツ、たとえばスキーやサーフィンと比べても自転車というのは圧倒的に複雑な機材なのです。おそらく全てのスポーツの中で最も複雑な機材が自転車だと言えます。それゆえに機材に依存するところが非常に大きいのが特徴です。
ただ経験を経るにつれてその複雑さが煩わしく思えてくる時が来ます。機材に依存している以上、成績が伸びないのは自分のせいなのか機材のせいなのか切り分けが難しくなってくるからです。その複雑さに飽きた人はよりシンプルな方へ流れるんじゃないかと思います。その最たるものがランニングでしょう。基本的にシューズさえあればできますから機材に依存するところがほとんどない。すべては自分の能力として受け入れることができます。水泳なんて最も機材の少ないスポーツですから、一切のごまかしが効きません。より速く美しくだけを追求する。その潔さが心地よく感じるんですね。
登山はもうちょっと機材が増える傾向にありますが、雪山登山などをやらない限り、基本的には登山靴とリュックさえあればできます。快適なウェアなど機材は多く出回っていますが、そういうものをいちいち揃えているときりがない。ありあわせのものでいいんです。
どんな趣味にでも言えることですが、ややもすると機材に走りやすい傾向があります。本来は手段であるはずの機材がいつの間にか目的にすり替わっているんですね。これが手段と目的の逆転現象。機材への依存度が高いほどこの傾向が強くなります。自転車なんてまさにその典型でしょう?
趣味で乗る自転車なんて別に何でもいいんですが、レースで勝とうと思うとより高性能な機材が必要になりますね。当然ものすごく高価です。ロードバイクでは100万超えなんて当たり前の世界ですが、そういうものを買えるのは経済的に余裕がなければできません。最後は結局金というところが面白くないんですよね。
自転車は手間がかかる
自転車は機材スポーツであることから、とにかく機材が多いです。自転車はもちろん、それに付随するボトルや工具類、ライトやサイコン、さらにウェアやヘルメット、シューズなど最低限必要なものだけでも相当な数に上ります。それらを一つでも忘れるとライドに支障を来たすことになるので、出発前には入念に準備しなければなりません。
そのため自転車は出発するまでにとにかく時間がかかります。特に冬はウェアの選択を誤ると悲惨なことになるので、準備に最も時間がかかります。思い立ってすぐ出発するというわけにはいかないのです。
しかしランニングやウォーキングであれば体一つで行けるわけですから、その時の気温に合わせたウェアを着て、お気に入りのシューズを履くだけですぐ出発できます。自転車に比べるとこの手軽さは圧倒的な魅力で、そのため自転車から転向していく人が多いと思われます。
登山になるとそれよりもう少し荷物は増えますし、山へ行くまでの移動時間がかかります。しかしそれでも自転車に比べると荷物ははるかに少なく、準備にもそれほど時間はかかりません。特に旅行中はこの差が大きいですね。自転車を積んだり下ろしたりする手間がいらないからです。
自転車は旅と相性が悪い
これは何度も言ってることですが、自転車は旅と相性が最悪です。自転車というのはとてつもなく巨大で重い荷物だからです。おそらく旅の荷物としてはこれ以上大きなものはありません。昔から楽しい旅の秘訣は荷物を少なくすることだと言われていますが、自転車を持つということはその真逆を行っています。
輪行なんて絶対やりたくないし、車中泊なんかしようものなら車内のほとんどを自転車に占有されて窮屈な思いをします。それもほとんど乗らないんならただの邪魔な荷物。
だから旅に自転車を持って行ってはいけないといつも言っています。自転車が足かせになるだけだからです。自転車なんてわざわざ遠くまで行って乗るもんじゃない。日帰りで行ける範囲で乗ってればいいんですよ。
自転車は時間を食う
自転車というものは多大に時間を消費する趣味です。40km程度のショートライドでも半日はかかるし、ロングライドになると丸一日潰れます。忙しい人はそれだけのまとまった時間をなかなか確保できないんですよね。
それに対してランニングやウォーキングは1時間程度のスキマ時間でも満足できるアクティビティが可能です。だから忙しい人ほど自転車を捨ててそっちへ流れる傾向が強いと思います。
登山になると現地への往復も含めて一日がかりになることが多いので、時間は消費すると言えます。ただ自転車と違って「ついで」が効くところが強みです。たとえば登山口の近くを通ったので、ついでに登っておこうということが割と簡単にできます。30分くらいで登れる手軽な山はいくらでもありますから、時間に合わせてコースの選択が可能です。これも自転車という大荷物がないからこそ身軽に動けるのです。
人の行かないところへ行きたい
自転車って結局道がなければ走れないわけですから、基本的には車で行ける場所と被るんですよね。そういうところは必ず人が多い。まあ山サイすればいいと言っても担ぎは絶対やりたくないですからね、そこまでするくらいなら歩いた方がいい。
山に限らず、池でも海岸でもいいんですが、歩いてしか到達できない場所というのが各地に存在します。知らなかっただけで日本にはまだまだ人が入らない秘境というものがあるんですね。そういうところを探して行ってみたい。
山は情報が豊富
昔は山登りするときは昭文社の山と高原地図を見ながら行ったものですが、最近ではYAMAPなどの登山アプリが登場して情報が非常に得られやすくなっています。こういうものを利用すれば旅先でも面白そうな山を探してすぐに登れるわけです。
情報が一切表に出てこない山サイとは違って、登山の情報は積極的に公開されます。だから情報源はほぼ無限。あまりそういうものに頼りすぎるのも危険ですが、うまく活用すれば安全で効率的な山歩きができます。
山と自転車、どっちが危険?
どんなアウトドア活動についても言えることですが、戸外へ出る以上は何らかの事故に遭うリスクは必ずあります。自分も昨年落車したし、最近はTwitterのフォロワーさんが大きな交通事故に遭われて大変なことになっているのを見て、ロードバイクは常に危険と隣り合わせだなとビビっています。自爆はしょうがないにしても、自分に一切落ち度がなくても貰い事故というものは起こり得ます。それは避けようがないものです。
もちろん登山には遭難のリスクが付きまといます。しかしそれはほぼ自分の経験不足か判断ミスが原因であり、自分側に責任があります。御嶽山の噴火のような天変地異を除き、避けようと思えば避けられるものがほとんどです。そういう意味では自己責任が全てなので、緊張感をもって臨めば過度に恐れることはありません。
歳を取ったら怪我などしたくないものですが、どっちが安全かというと甲乙つけがたいですね。まあどっちも同じくらい危険です(笑)。
旅と登山を組み合わせていきたい
旅と自転車は相性が最悪ですが、旅と登山は相性が最高です。これからは自転車という大荷物を持たず、行く先々で面白そうな場所があれば歩いてみる旅をしたいと思います。日本アルプスなど高山に登るのは別に興味ないですが、低山徘徊を中心に、秘境の湖とか滝、誰も来ない海岸などを目指して歩く旅をしてみたいです。
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