自転車は体力がないと楽しめない

スポンサーリンク
トレーニング理論自転車

自転車という趣味は不思議なもので、いくらお金をかけて高級な機材を揃えても体力がなければ全く楽しめません。そこが他の趣味とは違うところです。車やオートバイならお金さえかければパワフルな走りを楽しめますし、写真だって結局は高価なカメラやレンズを買える経済力がものを言うのです。

でも自転車はたとえ200万円の最高級ロードバイクを買ったとしても、自分のような貧脚が乗れば時速40kmも出すことができませんし、ちょっと脚のある人が乗る5万円のクロスバイクに軽くブチ抜かれてしまうでしょう。機材の差なんて微々たるもので、結局はエンジンである人間の体力に依存するのです。

当然ですが、同じ年代であっても体力には個人差というものが歴然として存在します。この体力差というものによって格差社会が生まれるのです。これが自転車という趣味の特殊性を表しています。

体力強者の目線で語られる

ここで大事なことは、常に体力強者の目線で語られるということです。体力強者とは具体的に言えばブルベなどを経験していて200~300kmくらいを余裕で走れる人のことです。

そういう人の感覚からすれば100kmなんて朝飯前だと思っているし、1時間15kmのペースで走れることは当然と思っているのです。だからグループで走行する時もそういうことが前提としてコースが組まれることになります。

しかし僕のような貧脚からすればそれは全然当たり前ではないのです。100kmなんて夢のまた夢だし、1時間に10kmも進むことができません。そんな人間が一緒に走ればすぐ置いて行かれるし、途中で脚が売り切れてリタイアすることは自明です。長い間お待たせしたり、行方不明になってご迷惑をおかけすることが確実なので、そういう場は初めからご遠慮するしかないのです。これが貧脚の悲しさ、誰とも一緒に走ることができないのですね。

ヒエラルキーの頂点にいる人たちは自分たちのレベルが当たり前だと思っているので、底辺のことは全く理解していないのです。この世に想像を絶する貧脚がいることなど考えが及びません。

貧脚は表に出てこない

日頃SNSを眺めていますと、一日200km以上走るとか、標高3000m以上登るとか、化け物みたいな人ばっかりが目に付きます。いわゆる体力お化け。そういう世界に身を置いていると、あたかもこの世には化け物しかいないような錯覚に陥ります。つまりヒエラルキーの最頂点にいる人ばかりが目立つのです。

でもヒエラルキーの構造から見れば最底辺の人数が最も多いはずなんですよね。つまり大多数を占めるはずの貧脚はどこへ行ったのか?ということです。これには大きく二つの理由が考えられます。一つは、貧脚は自転車が面白くなくなって短期間で消えていったということです。これは圧倒的に多いと思われます。もう一つは、貧脚はSNSの上には出てこないということです。SNSってある意味、自己顕示欲の表出みたいなものですから、貧脚を自慢したい人なんてまずいないでしょう。しょぼいライドを披露したって誰も褒めてくれませんから。

するとSNS上での脚力ピラミッドはきれいな三角形ではなくて、ちょうど日本の人口ピラミッドと同じように上の方が大きくて下の方が小さい歪な形をしている可能性が高いと思われます。これが貧脚を目にすることが少ない理由なのです。

自転車仲間が見つからない

自分みたいに一人で走るのが好きな人はそれだけで満足できるのですが、中には仲間がいないと面白くなくなって自転車をやめてしまう人もいますよね。

でも地元で脚力の合う自転車仲間を見つけることは非常に難しいのです。自分も近所にSNSで知っている自転車乗りはたくさんいますが、みんな速い人ばっかりでとても一緒にはなれません。でも自分と同じような貧脚はSNS上には全く出てきませんから、出会うこともないのです。これが自転車仲間を見つけることの難しさなのです。

レベルの高い集団に属さないと成長しない

上とは矛盾するようですが、自分と同じような貧脚と走ってもいつまで経っても成長しません。お互いに甘えちゃうからです。自分も昔は速い人たちと一緒にライドしたことがよくありました。もちろんめちゃくちゃしんどいし、全然ついて行けなくてお待たせしてばかりでしたが、それでも必死で食らいついていくことにより何とか脱落することなくライドを楽しめました。そうやってまた自信が付いていくのですね。

これは自転車に限らずどんな世界にも言えることですが、自分よりレベルの高い集団に身を置かない限り、成長はありません。常に上には上がいるのです。レベルの高い人もさらに上の人に刺激を受けて集団全体が成長していきます。ぬるま湯に浸かってると楽だけど、それは成長を放棄したのと同じです。

少し背伸びするくらいがいい

自分の悪い癖として、常に安全圏でまとめようとするところがあります。たとえば70km以下にしておこうとか、標高1000m以下に抑えようといった制限ですね。確実にできることがわかっている範囲でしか動かないと、それ以上伸びることはありません。最近はその制限がどんどん小さくなって、スケールが縮小していくばかりです。

誰しも自転車を始めたときのことを思い出してみると、最初は10km走れただけで嬉しくて、次は20kmに挑戦、その次は30kmに挑戦といった感じで徐々に距離を伸ばしていったはずです。そして気がつけば100kmくらい普通に走れるようになっているのですね。

自分も昔はそうでした。100km以上は何度か走ったことがありますよ。しかし歳を取るほど遅くなってもう100kmなんて走れる気がしなくなってきました。脚が売り切れないことを最優先するあまり、常に安全圏でしか動かなくなっているのですね。これでは永遠に100kmも走れないでしょう。

これも全てに言えることですが、できることだけを何度やってもそれ以上は伸びません。自分の実力より少しだけ上のところを目指すことによって初めて伸びるのです。自分の限界を破る方法はそれしかありません。

先天的か後天的か?

自転車で超人的な走りをする人のことを見ていると、この人たちの過去はどうだったのだろうか?と疑問に思うことがあります。もちろんスポーツの世界は先天的な要素が大きいですから、生まれつき体力に恵まれて運動部で活躍していた人も多いことでしょう。

でも自分みたいに子供の頃から運動音痴で体育の成績は2以上取ったことがない人も自転車の世界には結構多いような気もします。例えて言えば弱虫ペダルの小野田坂道くんみたいな感じ。

余談ですが、学校の体育というのは運動嫌いを育てるためにあるんですよね。あれはただの弱い者いじめです。体育教師による公認いじめ。あれで運動が嫌いになった人は数知れないと思います。

劣等感の裏返しとして、子供の頃の恨みを晴らすために自転車にのめり込んだ人も多いんじゃないかと想像します。そして体力お化けになった。つまり後天的なものが大きいので生まれつき運動音痴にも希望はあるってことです。

継続することが難しい

自転車で体力を付けることへの最大の障害は、継続することが難しいということです。自転車は屋外スポーツであることから天候や季節に左右されます。雨の日は乗りたくないし、自分なんかは暑い夏や寒い冬は何かと理由を付けてサボっちゃいますね。これだから全然伸びないのです。

速い人は例外なく季節に関係なく乗っています。つまり一年を通じて万遍なく乗るということが何よりも大事。しかし言うのは簡単ですが、これを実行するのは簡単じゃない。どうしても寒かったり暑かったりすると自転車から逃げてしまいます。完全に同じにしろとまでは言いませんが、少なくとも1ヶ月も間が開いてしまうともうダメです。その間の退化を取り戻すためにまた同じだけ時間がかかります。これじゃいつまで経っても進化しない。せめて2週間に一度でも乗り続けることができるかが分かれ目となります。

体力があれば楽しい

トレーニングの動機付けとして、体力が付けばどんないいことがあるかを考えてみましょう。まず純粋に行動範囲が広がります。今まで諦めていたようなプランが可能になるわけです。よく一日200km走るような人を見ていて、あんなことができたら便利だろうなといつも思います。150kmでも走れれば輪行とか面倒なことをしなくても自転車で行って帰れるんですから。めちゃくちゃ魅力的ですよ。

そして人と走ることが可能になります。一人でマニアックな趣味に走るのもいいですが(笑)、たまには仲間と一緒に走って美味しいものを食べに行ったりしたいですよね。でも貧脚にはできません。楽しそうだなと思いながらもただ眺めているだけです。体力があればそれも可能になる。これはさらに大きな動機付けになりますね。

具体的な目標は?

まず100km走ることを考えてみましょう。日中の時間帯に行って帰ることを目標とすれば、7時間で走る必要があります。これを時速に直すと14.3kmです。もちろんこれは休憩も含んだグロスの平均速度です。つまりブルベのペースとほぼ同じですね。

大したことない数字のように見えますが、今の自分にはとても遠い目標です。何しろ時速10kmでしか進まないんですから。時速14.3kmを出すためには正味の平均速度が19km/hはないといけません。これが大変難しい。ちょっと激坂があるとあっという間に落ちてしまいます。

脚力を客観的に評価するにはFTPなどを利用するのが最適なんでしょうけど、パワーメーターなんて持ってないし、そこまで数字にこだわりたくありません。簡易的に評価するには正味の平均速度で十分だと思います。これを19km/h、できれば20km/hまで引き上げることが目標です。そうすれば100kmは走れます。

今の実力では16~17km/h台しか出ません。昔は20km/h以上ありました。それだけ退化したということです。これを戻すのは並大抵じゃないですが、昔はできたんだからできるはずだよなとも思えます。そのためには登りが速くなることが絶対に必要です。登りが速くなればパワーが付いているので平坦も自然と速くなります。つまりヒルクライムで高強度トレーニングこそが正義なのです。

スポンサーリンク
SORAをフォローする

コメント