自転車の荷物積載を考える

自転車に乗る時の荷物ってどうしてますか？　ガチのローディーならパンク修理道具以外、何も持たないという人も多いんでしょうけど、ゆるポタ勢はとにかく荷物が多い（笑）。財布とスマホはもちろん、食料やカメラ、三脚など走るのに関係ない物まで加わります。ライドを楽しむためにはいろいろアイテムが必要なわけですよ（笑）。さらに泊まりの旅行となれば、これに着替えや日用品まで加わるわけで、それらの荷物をどうやって積載するかが課題となります。

自分はこの荷物の積載方法に長年悩まされていて、試行錯誤を繰り返しながらも未だにこれだという結論は得られていません。荷物積載は永遠のテーマです。結局のところケースバイケースで違うので、一概にどれが良いとは言えないんですよね。そこで荷物積載の基本的な考え方について整理してみようと思います。

自転車に全てを積むのが正しいとは限らない

一つには、フロントバッグやサドルバッグ、フレームバッグなどを利用して自転車に全ての荷物を積んでしまうという方法があります。この場合、体には何も身に着けないので非常に身軽です。特に上り坂では空荷のありがたさが身に染みてわかります。ツーリング系の人はこのスタイルを最も好む傾向があります。

ロードバイクにはそもそもバッグを取り付けることが困難ですが、最近のバイクパッキング用品を使えばできないことはありません。ただ自転車にあまりたくさんバッグを付けると操作性が悪くなってしまうことが欠点です。フロントバッグを付けるとどうしてもハンドルがふらつきますし、サドルバッグは重心が高くなるためダンシングでバイクを振るときに邪魔になります。

そして最大の問題は、自転車に荷物をいっぱい積むと重くなってしまうということです。これはパスハンティングなどで自転車を担ぐときに大きな障害となります。そのため担ぎが想定される場合は極力自転車には荷物を積まず、リュックを背負うのが基本となります。オフロードでは自転車にバッグを付けると荷物が暴れたり不安定になることから、昔からMTBライダーはリュックスタイルが常識になっていました。

さらにゆるポタ勢特有の問題として、自転車を離れて観光したり店に入る場合には、財布やスマホなどの貴重品をいちいち取り出さなければならないという問題があります。ガチのローディーならどこにも寄らないのが普通でしょうからあまり気にしたこともないと思いますが、寄り道だらけのゆるポタ勢には切実な問題なのです。できるだけ体には何も着けたくないが、自転車を離れるときに持ち出すのが面倒という悩ましい問題が生じるのです。

自転車に必要な物とそうでない物を分ける

荷物を分散させる場合、自転車に乗るのに最低限必要なものとそれ以外とに分けるというのが基本的な考え方です。最低限必要なものといえば、予備チューブ、パンク修理キット、携帯ポンプ、工具類くらいです。これらはサドルバッグやツールボトルを利用して自転車に常備しておけばいちいち揃える必要がなく、忘れる心配もありません。

補給食はどちらに含めるかは微妙なところですね。カロリーメイトのような小さいものなら背中のポケットに入れる人もいるでしょうし、トップチューブバッグなどで自転車側に入れることもできます。ただパンやおにぎりなど大きなものになると背中のポケットには入らないので、リュックに入れて背負うか大きめのサドルバッグに入れるかどっちかです。

自分の場合、最も悩ましいのがカメラです（笑）。自転車には全く必要のないものですが、カメラマニアはスマホで写真を撮るなんてあり得ないので絶対に必要なのです。これをリュックなどに入れてしまうとすぐに取り出せないのでいけません。自分は一番取り出しやすいステムポーチに入れています。つまり自転車には必要ないのに自転車側の扱いです。ただしそんなに大きなカメラは入りませんから、コンデジや超小型ミラーレス程度になります。昔からカメラの搭載方法は永遠のテーマです。自転車とカメラは相性が良いなんて大嘘なんですよね。本当は最悪（笑）。

それ以外、財布やスマホなどの貴重品、季節によっては防寒着などは身に付けた方がいいでしょうね。これらを自転車側に入れてしまうと自転車を離れる時に面倒になるからです。これも背中のポケットに入れる人が多いと思いますが、自分はどうも背中に重い物を入れるとゴロゴロするのが嫌いで苦手なんですよね。

サドルバッグ＋リュックは最適か？

自転車に最低限必要なものは自転車側に搭載し、それ以外は身に付けるという考え方に立てば、サドルバッグとリュックの組み合わせが最適なのではないかという考えに行き着きます。もちろんライド中どこにも寄らないという人であれば何も身に付けないのがベストですが、しょっちゅう自転車から降りて徘徊するゆるポタ民にとっては身軽にサッと自転車から離れられることが大事なのです。

少量の荷物であればウエストポーチを利用する人もいるでしょうけど、自分はどうも腰回りに物を付けるのが苦手で非常に不快に感じます。それよりはリュックを背負った方が不快感が少ないんですよね。何と言ってもリュックは自転車用のバッグに比べて容量が大きく、小さいものでも10Lくらい入るのが魅力です。たとえば道の駅などでお土産を買ったとしても入れられるだけの収容力があります。

リュックの欠点

収容力の大きさがリュックの利点ですが、最大の問題は背中の蒸れなんですよね。冬はまだいいとしても夏は背中がビショビショになるほど蒸れるので非常に不快です。これはどうにもならないのです。だから夏は使わないというのもそれはそれでアリだと思います。

自転車用リュックは必ずしも快適でない

背中の蒸れを解消するために考えられた自転車用のリュックというものもあります。ドイターなどから出ている背中に2本のパッドが入っていて空気が通る構造にしたものです。自分もこういうものにさんざん投資してきました（笑）。今も一つだけ持ってますが、こういうものを使ったからと言って必ずしも快適ではなかったんですよね。

確かに風は通りますので涼しいことは涼しいんですよ。ただ2本のパッドに荷重が集中するため、背中の圧迫感は逆に強くなってしまいます。そしてパッドがウェアに当たる部分にはどうしても汗が溜まって結局ビショビショになるのは同じです。

そして最大の問題はリュック自体が重いということです。こういうタイプは背中にパッドが入っているため、荷物を何も入れなくてもそれだけで重いんですよね。今持っている10Lのリュックでも空っぽで600gもあります。これだけ重いと背中の涼しさというメリットを相殺してプラマイゼロになってしまいます。

トレランザックを導入してみた

自転車用リュックに見切りをつけて、新たにトレランザックを導入してみました。トレランザックはランニングで使うものですからとにかく軽く作られており、大量の汗をかくことから通気性にも配慮されています。さらに水分補給には欠かせないペットボトルホルダーが肩ベルト前側に付いているところがポイント。

トレランザックもいろんなメーカーから発売されていますが、今回買ったのはAmazonで売れているこちらの商品です。

容量は10Lと必要にして十分であり、重さはわずか260gです。お値段も手頃。ちなみにU-Makesというのは中華ではなく日本の会社です。

背面と肩ベルトは全面ハニカム型のメッシュ構造になっていて密着感を和らげています。このくらいのサイズなら背中に当たる面積は最小限ですから、それほど不快感もないと思います。

背中のメッシュを拡大すると、このように網目状の繊維になっていて、汗を逃がしやすくしています。

肩ベルトの前側には500mLのペットボトルが入るホルダーが2個付いています。ツールケースでボトルケージを1個塞がれてもペットボトルを入れるスペースを確保できます。スマホを入れるのにも使えるので、前からサッと取り出せてとても便利です。

背中には芯が入っていないので柔軟性があり、小さく折りたたむことができます。大型サドルバッグに詰め込んでおいて、必要に応じてサブザック的に使うこともできるでしょう。ただパッドが入っていないため、背中側に硬いものを入れると当たって痛いのでその点は注意が必要です。

これを背負って二度ライドしましたが、この軽さはとにかく魅力的でした。荷物が少ないと背負っていることを忘れるほどです。当たり前ですが、冬なので全く蒸れは気になりませんでした。まあ夏に使ってどうなるかですね。

貴重品類はすべて背負って身に付けておけば、ライド＆ハイクスタイルで登山口に到着後、すぐにハイクに移行できるのでとても便利でした。もちろんポタリングで観光したり飲食店に入るときにも便利だと思いますよ。ライドには自転車用リュックという固定観念にとらわれず、トレランザックという選択も悪くないなと思いました。何よりも軽いのと手前側にポケットがあるのが強みなのです。

旅行時の荷物はどうするか？

日帰りのライドならサドルバッグと10Lくらいのリュックで十分なのですが、少なくとも1泊以上の旅行になるとそれだけでは足りません。最低限、下着類などの着替えと歯磨きセットやタオルなどの日用品、それに雨具が加わるからです。

昔、自転車で旅行した時は折りたたみ車のMR-4に乗っていたので、大型のフロントバッグに自転車用品のほか、重めの荷物を詰め込み、残りの着替えなどは20L程度のリュックに入れて背負っていました。雨具はリアに簡易キャリアを取り付けてくくり付けていましたね。今やるならロードバイクですからフロントバッグは不適で、オルトリーブのサドルバッグLを使うかなと思います。雨具や輪行袋などかさばる物はサドルバッグに詰め込むか、自転車にくくり付けた方がいいです。

リュックを背負うにしても、サイズは20L以下、重さは3kg以下にすることが鉄則です。それ以上重くなると腰に来るので上り坂が地獄です。荷物は本当に必要なものだけを十分厳選して、極限まで切り詰める工夫が必要です。荷物の少なさが快適な旅の秘訣なのですね。

自転車にあまりたくさんバッグを付けると、輪行する時にぶら下げて歩かなければならないので大変です。だから自転車に付けるバッグは1個だけにして、残りはリュックを背負うのが合理的なのです。サドルバッグだけなら輪行袋の中に入れることもできます。そうすれば両手が空きますから輪行袋を担ぐのが楽になります。

グラベルロードならリアキャリアを取り付けてパニアバッグを使う方法もありますね。そうすれば大量に荷物を積めるし、体には何も付けないので楽ではあります。ただキャリアを付けてしまうと輪行ができません。その都度バラせばできないことはないですが、重たいパニアバッグを持って輪行袋を担ぐのは地獄です。基本的には輪行は想定せず、何が何でも自走で帰ってくるという覚悟が必要でしょう。