比婆山連峰縦走

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登山

■コースタイム
六ノ原=0:45=毛無山=0:25=出雲峠=0:30=烏帽子山=0:15=比婆山御陵=0:25=越原越=0:20=池ノ段=0:10=立烏帽子山=0:10=駐車場=0:25=笹の尾根=0:35=六ノ原【total 4:00】

 4月30日、早朝から快晴。この4月は週末毎に天気が崩れたため山に行けず、今年初の本格的な山行となった。午前8時に出雲市の立久恵峡YHを出発し、午前10時登山口の「県民の森」に到着する。ここは駐車場、公園センター、売店、キャンプ場などが完備していて一大レクリエーションゾーンとなっている。シーズン中は賑わうのだろうが、ゴールデンウィーク中とは言え、今日は平日なので広大な駐車場はガラガラ、ほとんど人気がない。

 午前10時15分、六ノ原の登山口を出発。大きな案内板を見て登山コースを確かめる。毛無山への登山路はいくつかのルートがあるが、キャンプ場方面へ向かう未舗装の林道を200mほど登り、「毛無山」の道標を見て右の登山道に入る。最初はジグザグに登っていき、10分ほどで尾根に出る。道は大変よく整備されていて、勾配もゆるいので歩きやすい。このくらいの標高になるとまだ新緑が芽吹いていないのが残念だが、冬枯れの自然林は明るくて実に気持ちよい。それほどきつい登りもなく、ぐんぐん高度を稼いでいくと30分ほどで出雲峠への分岐に出る。左にとれば毛無山の山腹をトラバースして直接出雲峠に出られるが、せっかくなので毛無山の頂上を踏んでいくことにする。このあたりで今日初めて先行者を2人追い抜いた。分岐から15分ほどで樹林が途切れ、山名の通り草原に覆われた毛無山の山頂が見えてくる。山頂の西側を大きく回り込むようにして午前11時、 ようやく誰もいない山頂に着いた。ここからは360度の展望が開け、これから目指す比婆山連峰の全容や向かい側の道後山を一望できる。さらにはかすかながら伯耆大山を望むことができた。大変気持ちの良い山頂だが、まだ先は長いのでゆっくりもできず、10分で山頂を後にする。


毛無山山頂と立烏帽子山

 「出雲峠」の道標に従い、かなり急な斜面を下っていく。10分ほど下って、「ききょうヶ丘」と呼ばれる小さなピークを登り返す。さらに下って植林帯の中に入り、出雲峠の広場に着いた。ここから見上げると烏帽子山がちょうどその名の通り烏帽子のように見える。ここで若者4人グループに出会い、以後山頂までずっと同じペースで登る。さすがにペースが速い。10分ほどで薄暗い植林帯を抜け、再び明るい自然林の中をジグザグに登っていく。ウグイスの声もしばしば聞かれ、春山の雰囲気に満ちあふれている。やがて樹林が途切れ、美しい草原の中を行くようになると山頂はもう近い。出雲峠からちょうど30分で広大な草原が広がる烏帽子山の山頂に着いた。 ここも毛無山と同じように360度の展望が開け、ブナの純林に覆われた御陵はすぐそこに、西側には美しい笹原に覆われた吾妻山が望まれる。山頂には烏帽子岩と呼ばれる岩のほか、いくつかの巨岩が点在している。ベンチもいくつか設置されており、ちょうど昼と言うこともあって何組かが弁当を広げている。展望の良いこの山頂で昼食にしたいところだが、まだ先は長いのでもう少し頑張って御陵まで行くことにする。15分ほど休憩し、後ろ髪引かれる思いで烏帽子山を後にする。


烏帽子山より吾妻山を望む

 烏帽子山から草原の中を5分ほど歩いて鞍部に下り、いよいよブナの純林の中に入る。幹の太さもかなりあり、西日本では立派な部類に入るだろう。ぐねぐねと曲がった枝など、ブナの木はそれぞれ個性があって面白い。まだ芽吹きが始まっていないのが残念だ。新緑に包まれる頃はさぞ美しいだろう。美しいブナ林を愛でながら10分ほど登り返すと、伊耶那美命の墓とされる御陵に着いた。御陵の周りはイチイの巨木で囲まれ、そこだけ鬱蒼として神聖な雰囲気が漂う。神話のロマンに浸るにはふさわしい場所である。朽ちかけたベンチがあり、展望は全くないがここで昼食にする。25分休憩した後、午後1時ちょうどに御陵を出発する。


御陵付近


池ノ段山頂

 御陵から先はブナはあまり見られなくなる。この辺りの頂稜は全く平坦で、広々として気持ちがよい。ちょうど正面には池ノ段が見られるようになった。少し下るようになると再びブナの純林となり、間もなく越原越の鞍部に着いた。ここからは六ノ原へ直接下る道が分かれているが、 やはりメインの池ノ段へ登っていかなければ魅力が半減するだろう。それにしてもこの山域は道標がよく整備されていて迷うことは全くない。道も幅が十分にあって歩きやすくなっている。地元ではよほど親しまれている山域なのだろう。度重なるアップダウンで少々疲れているが、池ノ段までもう少し頑張って登り返す。最後は珍しく岩石が積み重なる階段の登りとなり、一気に池ノ段の山頂に飛び出す。山頂は中国山地特有の芝に覆われていて、そのまま昼寝してしまいたくなるような雰囲気だ。ここが全コースのハイライトだけあって、申し分のない展望である。毛無山から今まで歩いてきた山が全て見え、立烏帽子山も指呼の間だ。立烏帽子山との鞍部には平らな広場があるのが見える。はるか彼方に伯耆大山をはじめ、中国山地のありとあらゆる山が眺められる大展望台だ。すぐ下には林道が上がってきていて、向かい側の竜王山へは山頂近くまで車で行けるようだ。竜王山も同じように芝に覆われ、広々とした山頂である。この辺りの山域は中国山地特有の準平原と呼ばれる地形で、実にのびのびとして低山の魅力に満ちあふれている。ここで20分休憩しているうちに、烏帽子山まで一緒だった若者グループがまた追いついてきた。午後2時5分に素晴らしい池ノ段を後にし、最後の立烏帽子山に向かって下っていく。


池ノ段より立烏帽子山を望む


池ノ段より比婆山を望む

 5分もかからないうちにさっき見えていた広場に着いた。ここにもベンチがあって休憩するにはいい場所だ。再び登り返して狭い尾根に出ると間もなく立烏帽子山の山頂だ。池ノ段からわずか10分しかかからなかった。3月28日に立てられたばかりの真新しい山名板が光っている。一応ここが連峰の最高峰なのだが、展望は半分もきかずあまり良くない。山頂は非常に狭くて弁当を広げるには適当な場所ではない。やはり山の魅力としては池ノ段が最高であろう。ここでも20分休憩して、あとは下るだけとなる。

 立烏帽子山からかなり急な斜面を下っていくと約10分で立烏帽子駐車場に着いた。ここには立派なトイレや水場があり、水を補給していく。舗装道路はここで終わっており、竜王山へはここに駐車して歩いていかなければならないようだ。また立烏帽子山や池ノ段はここまで車で来れば簡単に登れるというわけだ。管理車道の鎖を越えてすぐ左に六ノ原への分岐があり、淡々と下っていく。やがて右側の斜面の展望が開けるようになり、冬枯れの中に混じって新緑の木や桜が点在しているのが春山らしくて美しい。そして間もなく「笹の尾根」の分岐に出る。ここはどちらをとっても再び合流するのだが、左はやや道が荒れており、展望の良さそうな右の道をとる。その名の通り笹の生えた展望の良い尾根で、実に気持ちがよい。道は大変よく整備されていて、こちらが後から付けられた道のようだ。 尾根を回り込んで大きく左にカーブすると間もなく左ルートと合流し、延々と下っていく。やがて展望園地と呼ばれる広場に着く。ここにも立派なトイレやベンチが設置されている。公園センターまであと1.3kmの道標があり、もう一頑張りだ。下りでかなり足が疲れているが予定の時間が迫っているので大急ぎで下り、午後3時50分にようやく六ノ原の駐車場に着いた。4時にすぐ出発し、庄原を経て迷いに迷って三次YHにたどり着いたのが午後6時過ぎであった。

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