Amazfit Bip Sのレビュー(睡眠管理・ワークアウト・バッテリー持ち)

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スマートウォッチデジタルガジェット

前回はAmazfit Bip Sの外観や機能について解説しましたが、今回は睡眠管理とワークアウトの精度、およびバッテリー持ちについて検証し、まとめとします。

Amazfit Bip Sのレビュー(外観と機能)
Amazonのブラックフライデーセールにやられて、またスマートウォッチを買っちゃいました(笑)。これで3台目ですよ。そんなにいくつもあってどうするねん?と思われるでしょうが、目的に応じて使い分けるのがスマートなんですよ。 というのはまあ言い...

睡眠トラッキングの精度

スマートウォッチの主な機能の一つに睡眠管理というものがあります。睡眠時間はもちろん、深い睡眠、浅い睡眠などを細かく分析して睡眠の質を評価するものです。当然ながらBip Sにも睡眠トラッキング機能は搭載されています。

睡眠トラッキングを行うにはまずZEPP側の設定で睡眠アシスタントを有効にし、心拍数の自動測定を有効にしておく必要があります。以下は一日分ではありますが、睡眠ログを取ってみた結果です。


まず就寝時間と起床時間はほぼ合っていると思います。これは実際に眠っている時間というよりは体の動きから判定しているだけだと思いますが。見ての通り、深い眠りと浅い眠り、それに覚醒という非常に大ざっぱな情報しか得られません。これはStratosも同じなのですが、Amazfitの旧世代は全体に睡眠管理機能が弱いです。過去のデータから比較すると深い睡眠の時間はほぼ合っていると思いますが、レム睡眠は区別してくれません。さらに夜中に一度トイレに立ったはずですが、それも記録されていません。この辺が結構いい加減なのですね。

参考までに以下はHuaweiのHONOR Band 5で睡眠ログを取った結果です。


同じ日のデータではないので直接比較はできませんが、こちらの方がはるかに精密に分析していることがわかります。レム睡眠も区別してくれますし、途中で起きた時間もちゃんと記録されています。HONOR Band 5はほぼ睡眠管理のためだけに1年半ほど使っていますが、精度は非常に高いことがわかっています。Amazfitも最近の機種ではかなり良くなっているみたいですが、睡眠管理に関してはHuaweiの方がはるかに進化していて精度が高いです。もし睡眠管理が主な使用目的であれば、この機種を買うのはおすすめしません。絶対にHuaweiにすべきです。

ワークアウト

ワークアウトとは各種運動の記録を取るための機能です。Bip Sは以下の17種類のスポーツに対応しています。

屋外ランニング/室内ランニング/サイクリング/室内サイクリング/フリー/ウォーキング/屋外水泳/プール/クロストレーナー/ヨガ/縄跳び/バドミントン/ピンポン/クリケット/バスケットボール/サッカー/ローイングマシン

屋外のスポーツでは移動の軌跡が残りますが、Bip SはGPSを内蔵しているためスマホなしで記録が可能です。また本体は5気圧防水に対応していますので、水泳での使用も可です。

読者が興味あるのはサイクリングでしょうから、ここでは屋外のサイクリングに特化してGPSと心拍計の精度について検証してみました。

GPSの捕捉時間

ワークアウトを起動してから追跡が可能になるまでの時間は、開けた場所であればだいたい1分以内に終わります。GPS + GLONASS対応であり、AGPSにも対応していますので、そこそこ早いようです。

トラッキング中の情報表示


サイクリングを記録中の画面は上のようになります。全部で2ページ分あり、物理ボタンを押すことによってページが切り替わります。1ページ目には走行時間/走行距離/スピード/心拍数が表示され、2ページ目には平均速度/最高速度が表示されます。Stratosと違って表示項目のカスタマイズはできず、固定となります。

ワークアウトの設定によって自動ポーズも効きます。その場合は実際に走っている時間だけ記録されます。ただし停止とする条件はStratosのように自分で設定することはできず、固定となります。

Bip Sは気圧高度計を内蔵しないため、Stratosのようにリアルタイムで標高は表示されません。一応データとしては残りますが、サイコン代わりに使いたい人にはこの点が物足りないかもしれません。

トラッキング中も通知は受け取れます。その場合は自動的に通知画面となり、数秒後にワークアウト画面に戻ります。ただ振動が弱いので自転車に乗っていると気付かないことが多いです。本当なら音で知らせてほしいところですね。

ワークアウト中こそ常時表示が生きてきます。屋外での見やすさは抜群ですし、手首を上げなくても横目でチラッと眺められます。これに慣れたら常時表示でないスマートウォッチなど使えないと思います。

GPSの精度は十分

GPSの精度を検証するため、比較対象としてGarmin eTrex 30xと同時計測を行い、同一地図上にプロットしました。Bip Sは単独でログを取り出すことができませんので、いったんstravaにアップロードしてからGPXにエクスポートしたものを使用しています。

下の地図で赤がBip S、緑がeTrex 30xを表します。拡大してよくご覧下さい。

山間部でもしっかり取れてますので、eTrex 30xと比較しても遜色はありません。この値段でここまで取れれば申し分ありません。さすがSONY製のGPSチップだけあって精度は優秀なようです。

心拍計の精度

原理上、光学式心拍計の精度は心電式に比べると劣ります。これはBip Sに限らず全てのスマートウォッチに共通ですから避けられない問題です。ただメーカーや機種によって誤差の度合いは違いがあるようです。ここでは上と同じデータを使い、絶対正確な心拍ベルトと同時計測して精度を比較してみました。

下のグラフはstravaにアップロードして得られた心拍数変化です。わかりやすいようにスケールを合わせて2つのグラフを重ね合わせています。濃い赤線が心拍ベルトで、薄い赤線がBip Sです。


こうやって見ると最初のうちは完璧に追従していて「おおっ」と思ったんですよ。実際、表示を見比べてみてもリアルタイムで一致してましたしね。ただ、いったん休憩してからおかしくなってしまいました。実際より大幅に低く出ているのが何ヶ所かあります。こういうことはStratosでもよくありましたので、別にBip Sだけの現象ではありません。これもしばらくすると正常に戻るのですが、Stratosより発生頻度が多く、戻るまでの時間が長い気がします。

どういう状況でこうなるのかはよくわかっていませんが、経験上は長い時間休憩して心拍数を落とした後、激坂を登ったりして心拍数が急上昇するときに起こりやすい気がします。この時も160近くまで上がってましたからね。おそらく心拍が急上昇するとついていけなくなって微小な血流変化を見失ってしまうのが原因ではないかと思っています。いったんこうなると時計を外してみてもなかなか回復しないんですよね。

これを良いと見るか悪いと見るかは微妙ですが、光学式心拍計を使う限り避けては通れない問題なので、参考程度に見た方がいいと思いますね。明らかにおかしいときはわかりますから。どうしても正確さを求めるなら、鬱陶しさを覚悟で心拍ベルトを使うしかありません。

ZEPP上で確認できるデータ

ワークアウト終了するとスマホにデータが転送され、ZEPP上で記録を確認できます。移動経路はもちろん、速度や走行距離といった一般的な情報に加え、心拍数のグラフも表示されます。


こちらが心拍数のグラフ。各心拍ゾーンに入っていた時間も分析されるので、運動の強度がわかります。Stratosと違って時計本体では見られません。


こちらは走行の詳細データです。Bip Sは気圧高度計を持っていないので標高はリアルタイムで表示されませんでしたが、最高標高・最低標高・獲得標高といったデータは記録されています。ただしStratosのように標高グラフは表示されません。これらはGPS計測によって得られたものと思われますが、だいたい合っています。というか非常に正確です。せっかくこれだけの精度があるのにリアルタイムで表示できないのはもったいないと思いました。

stravaとの連携

Bip Sをはじめ、Amazfitシリーズはstravaと連携してログをアップロードできるのが強みです。stravaにさえアップできれば、GPXをエクスポートしたりできますので、ログ活用の範囲が大きく広がります。中華系メーカーでstravaと連携できるのはAmazfitだけの特権なので、これだけが目的で買ってもいいと言えるくらいです。

Bip Sは気圧高度計を持たないのでZEPPアプリ内では標高グラフを表示することもできませんが、stravaにアップロードすればstrava側の地形データによって自動補正されるため、標高グラフもちゃんと表示されます。


これはstravaが生成した標高グラフです。最近は補正精度が良くなってますので、極端にギザギザになったりせず、ほぼ正確な標高が得られています。ZEPP側で標高が表示できなくても実用上は問題ないと言えますね。

バッテリー持ちは驚異的!

Bip Sのバッテリー持続時間は公式スペックによると一般的な使用条件で15日間、セーブして使った場合は40日間の連続使用が謳われています。しかし他のレビューによると実際にはもっと持つという話もあるのですね。買ってから10日ほど経つので、今までの感触から実使用時間を探ってみたいと思います。

通常使用時

公式スペックで言う「一般的な使用条件」とは、1分ごとに心拍測定を行い、一日150件の通知を受け取り、5分間操作して、週に3回・30分のワークアウトを行った場合を想定しています。確かにGPSを使うと大幅に減るので、15日というのは妥当かもしれませんね。

ただワークアウトは一切行わず、普通のスマートウォッチとして使うならばもっと持つと思います。自分も1分ごとの心拍測定を有効にして、通知も有効にしていますが、それでも一日で2%くらいしか減りません。もちろんいろんな機能を使ったりして操作しているともっと早く減るのですが、何もしないで時計として使っているだけならそんなものです。これにはビックリしましたね。たぶん何もしなければ40日どころじゃなく、もっと持ちそうな気がします。

GPS使用時

GPSを使用すると大量に電力を消費するので、連続使用時間が短くなるのはどんなスマートウォッチでも同じです。Bip Sではスペック上、連続で22時間使用できるとされています。

GPS精度の検証時は3時間のライドで90%→77%に減りましたので、実質13%の消費率です。仮にこの割合が一定だとすれば、95%消費するのに21.9時間かかりますので、ほぼ公称通り持つと思って良さそうですね。

Stratosの35時間に比べれば負けますが、このサイズで22時間なら立派ですよ。やっぱり超低消費電力チップの恩恵なんでしょうね。一般的なスマートウォッチでは10~15時間が普通、さすがのGarminでもここまで持つ機種は少ないです。それを考えればこの値段で22時間っていかに凄いかわかるでしょう。普通のGPSサイコンでもだいたい25時間くらいですからね、十分サイコン代わりになり得ます。もちろんライドの前にはフル充電しておいた方がいいでしょう。

2022.5.24追記:
その後、約半年使用していますが、GPSを全く使用しなければ一回の充電で何と58日も持ちました。いつ充電したのか忘れるくらいです(笑)。腕に着けている時間が短いという特殊な状況ではありますが、純粋なスマートウォッチとしての利用なら1ヶ月は十分に持つと思って間違いありません。

総評:買って損なし!

Bip Sを買って良いと思ったのは端的に次の7点です。

・実質4千円でGPS内蔵
・小型軽量
・屋外で見やすい常時表示ディスプレイ
・豊富なウォッチフェイス
・高精度なGPS
・圧倒的なバッテリー持ち
・stravaとの連携

一方で欠点は別にありません。もちろん最新機種に比べれば解像度が低いとか機能が劣る面もありますが、実質4千円という値段を考えれば全てが許せます。確かに初期の1万円近い価格なら微妙だったかもしれませんが、この値段なら買わない手はない!です(笑)。

最初はStratosのサブとして使おうと思ってたのですが、この性能なら逆にメインになってしまいそうです(笑)。確かにトラッキング性能についてはStratosの方が優れている面があるので、ワークアウト時だけはStratosを使うと思いますが、それ以外の普段使いにはBip Sの方が全然使いやすいんですよね。やっぱり時計はこのくらいのサイズじゃないと常時着けてられないですよ。本当に時計嫌いなんで(笑)。

実質4千円でGPSが付いてるというだけでもあり得ないんですが、おまけに常時表示で驚異のバッテリー持ちと来れば買わない方がどうかしていると思いますね(笑)。スマートウォッチというものをまだ持っていなくて、一度体験してみたいという人には自信を持っておすすめできると思います。ただ発売から時間が経っており、すでに在庫処分に入っていると思われますので、買うなら急げ!です(笑)。

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コメント

  1. romi より:

    こんにちは。

    BIPS 千円ディスカウントになったのでポチリました。
    先週まで800円ディスカウンだったので、良しとして買いました。

    貴兄のレポ時が最安であった様子です、ばたばたせず早く買っときゃ良かったです。
    電池持ちが良い機種の様で、移動経路と運動量が知りたいだけの私には良い商品である事でしょう。

    新しいAmazfitシリーズは高価になっていますね、手元不如意の私にはこの価格はありがたい事です。

  2. SORA より:

    >romiさん

    ポチられたのですね。私の時はブラックフライデーだったので最安でしたが、3990円なら十分だと思います。

    電池持ちは驚異的ですよ。本当に1ヶ月以上持ちます。
    標高のリアルタイム表示ができないことだけが欠点ですが、ログ精度はStratosと大差ないと思います。

    最近のAmazfitは新製品のサイクルが早すぎてついていけないですが、全体に高価格化してますね。
    あの値段ならGarminが視野に入ってくるのであまり魅力はないですね。
    常時表示機種がなくなったし、電池持ちがかなり悪くなってますね。